ネパ－ル人の２登山合同隊がＫ２・８６１１ｍの冬季初登頂おめでとう その十二回目
魔の山 Ｋ２ 「Ｋ２非情の頂」の四回目
ネパ－ル人だけの登山隊で世界第二位の高峰パキスタン・Ｋ２冬季初登頂。おめでたいことから始まったこのブログ、もう１２回目。
前回は、Ｋ２に登頂した女性が、パキスタンでの暮らしや登山活動中に出会った男尊女卑について、特に宗教社会の女性の地位について、を見た。
今回は、ジェニファ－・ジョ－ダンの著作「Ｋ２非常の頂」の４回目。５人の女性Ｋ２登頂者の、全員８千ｍ峰で死亡する物語。
この「ネパ－ル登山隊 Ｋ２・８６１１ｍ冬季初登頂 おめでとう 第４回」２０２１年２月１２日（金）に、１９９７年パキスタン・スキムブルム峰の氷河雪崩遭難事故の写真を見た。
この日本隊Ｋ２登頂２０周年記念登山パキスタン・スキムブルム峰、で起きた氷河雪崩６名死亡事故、なのだが、なんと今回のＫ２を書いた「Ｋ２非常の頂」の記述の中に、スキムプルム遭難死した６人の現地遺体ダビに、著者が立ち会っていた。
「Ｋ２非常の頂」の書者ジェニファ－・ジョ－ダンは、２００２年６月に二回目のＫ２ベ－スキャンプを訪れ、２ケ月後の下山の日におそらく世界最高度で行われる埋葬式に参列。
それは、５年前の日本隊スキム・ブルム峰登山隊が氷河雪崩で６人がクレパスに飛ばされて死亡。今年２００２年になって埋設した墓場から５人の遺体が発見された。
当時の生き残りのメンバ－２人が、遺体収容を目的に日本から駆けつた。なんと、その二人は１３０人のパキスタンのポ－タ－を雇用し、石油と薪を背負わせ、氷河上でのダビを行った。
５人の遺体を焼く状況は、氷河上のモレ－ンをモクモクと燃え上煙が立ち上ったのだろう。
その懇(ねんご)ろな日本式のダビ葬儀の様子を、「Ｋ２非常の頂」の書者ジェニファ－・ジョ－ダンは、５人のＫ２登頂女性の葬送と重ね合わせて、次の様に記述する。
燃え盛る炎から離れて私は腰を下ろし、盛大な焚火だからといってはしゃいではいけない、燃えているのは薪だけではないのだと、しきりに自分に言い聞かせていた。時々、一人の日本人がガロン缶の灯油を、炎の上に撒くと、薄い大気へ向かって赤黒い炎が噴き上がる。その炎の向こうに、絵はがきの図柄のようなＫ２が透けて見える。五つの積み薪を見守るうちに、一本一本の薪が徐々に痩せ細っていって、ティ－ピ－のように積み上げた天辺が真ん中へ落ち込み、遺体の上に乗った。そのうち真っ赤ななつた熾(おき)火(び)の中に白い助(あばら)の骨格が見えてきた。別の積み薪には曲がった腕が見えるし、また別の所にはまん丸な頭蓋が見える。自分勝手な私の喜びは消え去り、悲しみに鈍磨し重くなつた気持ちのまま、炎の中で小さくなっていく遺体を見守った。
五つの明瞭な炎のケルン。四つでもなく、六つでもなく、五つ。日本人の遺体がきっちり五つ見つかったというのは、なんという妙な符号－－そして私は今、歴史上初めてＫ２ベ－スキヤンプで執り行われている埋葬式に立ち会っている。この私の目の前で、火葬されているのは、遭難死した五人の日本人・・・。それとも、Ｋ２にまつわる五人の女性クライマ－・・・。Ｋ２に登頂した女性は五人、そのうち生きて下山した人が二人いるけれど、登山中に死んだ女性が二人いるから、計五人の女性がこの山の上と下、どこかにいる。だが、女性五人の家族の誰一人、あえてここまでやって来て葬儀を営んだ例はない。それなら、いっそ私が・・・と私は考えた。この埋葬式は、Ｋ２に逝った女性たちの埋葬式でもある。
Ｋ２登頂の日本隊２０周年記念登山パキスタン・スキムブルム峰隊
１９９７年日本隊ベ－スキヤンプなどの映像
パキスタン・スキムブルム峰登山隊の氷河雪崩で死亡した６名
Ｋ２頂上 １９７７年日本隊登頂映像
