koyaken4852のブログ

ネパ-ル暮らしの日記や、主にネパ-ルの写真を掲載

ネパ-ルの楽しいトレッキング 第75回

ネパ-ルの楽しいトレッキング その七十五回目

エベレスト街道・トレッキング(ソルク-ンブヒマラヤSol  khumbu)の三十六回目

前回は、シェルパ族が約3千人くらい暮している、エベレスト街道の畑を耕す農家の写真で見た。

 エベレスト街道トレッキングを36回写真で見てみた。ネパ-ルの山岳について「ネパ-ルの楽しいトレッキング」として75回に亘って、写真をみてきた。ネパ-ルの山岳を舞台にした歴史は、楽しいばかりではない。ヒマラヤの登山の歴史から、日本人の遭難や事故で死亡したクライマ-は2%になっている。

 

ネパ-ルヒマラヤの登山やトレッキングの死亡事故

 死亡率2%と聞いても、実際の数をピンと感じないかもしれない。日本のエアポ-トから、元気よく「行ってきます」と旅立つ50人の内一人が帰ってこない。日数など比較対象できないが、野球の試合でピンチヒッタ-や投手交代など入れて、両チ-ム25名で試合をして、2試合すると一人は確実に死亡する勘定になる。登山が単純にスポ-ツと云えない理由が分かるだろうか。

 ヒマラヤ登山で死亡事故が起きると、必ずテレビや新聞紙上に掲載され騒がれる。しかし、ヒマラヤのトレッキングで高山病などで死亡しても、ほとんどは報道されることはない。結構な数のトレッカ-が死亡している。数多くのヒマラヤトレッキングをしている人なら、現地のロッジなどで、同宿のトレッカ-の悲劇を聞いたり見たりしている筈。

 

今回を含めて、3件のヒマラヤ大量遭難事故を見てみたい。

 2014年10月13日~14日、インドを襲ったハリケ-ン(台風)がインド大陸を北上し、ネパ-ルのトレッカ-43人を死亡させた。台風はネパ-ルのほぼ中央を大型の熱帯低気圧となってチベットへ駆け抜けた。

 それと、2014年プレモンス-ン季エベレストのベ-スキャンプからキヤンプ1間のセラック地帯を襲い、13人死亡、行方不明3人の氷河雪崩事故。

 三番目は2015年プレモンス-ン季4月25日、ネパ-ル大地震でエベレストのベ-スキャンプを襲い、19人死亡の氷河雪崩事故。

 

大型低気圧によるアンナプルナヒマ-ルとダウラギリヒマ-ルで、トレッカ-43人遭難死

 わたしは10年前から一年のうち数か月をネパ-ルで暮らしている。それは2014年10月のことだった。10月12日ネパ-ルのカトマンドゥで借りているフラットでテレビを見ていた。テレビはインドでの台風の被害を映していた。台風の進路は、インド大陸の右側から大陸のど真ん中を突き進んで、勢力を保ったまま大陸中央まで進み、そして方向を上に90度変えて上部へ向かった。インド大陸の東から上陸して中央まで進んだ台風は、90度方向転換して北進した、と云える。日本に近づいた台風が、沖縄に接近すると方向を90度変えて九州方面に進むのと似ている。

インド大陸を北進すると、その先はネパ-ル。

 ネパ-ルヒマラヤの乾季に、10年前後に一度くらいの頻度で大型の低気圧が来て、4千m以上に大量の降雪をもたらし、大量遭難事故がある。わたしの記憶では、エベレスト街道でも大量降雪で雪崩が発生。ロッジに宿泊していたトレッカ-が大勢死亡したことを記憶していた。

 今回のインド経由の大型低気圧は、ネパ-ルのどこを通るのか、この時点では分からなかった。そして10月13日。この日のカトマンドゥは朝から、モンス-ン季の降雨と同様などしゃ降りの雨に襲われていた。これがまる二日続くことになる。

 モンス-ン季のネパ-ルは、毎日降雪があるが、たいてい15時頃から降り始めて夕方には止む。雷はゴロゴロでどしゃ降りとしとしとが互い違いに続く。ネパ-ルの夏で雨が降らないのは、わたしの経験ではひと夏に一日あるかないかだ。

この時、わたしの友人夫婦がアンナプルナ街道トレッキングで入山中だった。日程を聞いていなかったので、何処を歩いているのか分からない。友人はパソコンメ-ルを日本の携帯で見れるように設定してあったはず。直ぐにPCメ-ルで、「動くな」と発信。彼からは、トレッキングからポカラに下山して、わたしのネパ-ル携帯に電話があった。10月14日、ロッジ前の道が河の様になって流れていた、と。そして、他のヨ-ロッパ人のトレッカ-達は、雨の中歩いている人達がいたそう。

アンナプルナ外周コ-スで猛吹雪と大量降雪

 そして、10月15日のテレビは大騒ぎ。16日からの新聞は一面からアンナプルナ方面の大雪によるトレッカ-の遭難を伝えていた。14日一日で120cmの降雪。この時期のトレッキング街道は雪が無く、毎日晴天で、昼間はTシャツ一枚でも歩けるのだ。

 アンナプルナヒマ-ルは、山々が一周している。内院トレッキングと云うコ-スが有るくらいで、そのかわり外周のトレッキングもある。この外周は、標高5500mの峠越えがあり、この頃は4千m以上が降雪の温度になる。

 このアンナプルナ外周コ-スの4千m以上で大量遭難していた。このコ-スの標高の髙い場所は人家が無い。せいぜい3千m位まで畑や家畜の農家があるが、それ以上は登山者やトレッカ-の世界となる。ヤクを飼っている農家は、11月頃から冬に向けて寒くなるが、10月中は4千m前後の牧草地にヤクを放牧している。この多くのヤクも吹雪と降雪の犠牲になったと報道された。

 最近のトレッカ-は要所要所にあるロッジ泊まりがほとんど。テント持参のパ-ティ-はない。テントが有ったら助かっていただろうに。

 アンナプルナヒマ-ルの西となりの、ダウラギリⅠ峰ベ-スキャンプでも雪崩死亡事故が発生していた。

 わたしは毎日新聞とテレビ報道に目を向けていた。トレッカ-の死亡数が43人まで数えることができた。それ以上の死亡者数なのだろうが、それ以上の報道はなかった。ネパ-ル政府は軍の出動で、ヘリコプタ-での救助救出活動をした。アンナプルナ街道の飛行場のあるジョムソンに遺体や疲れたトレッカ-を乗せたヘリが着陸、テレビ報道されていた。

 

日本隊のヒマラヤ死亡事故率調査 日本ヒマラヤ協会

1952年~2004年(53年間)

6千m~8千m峰の登山隊員数から死亡率2%

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アンナプルナヒマ-ル地形図 上部にアンナプルナ外周トレッキングコ-ス

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ネパ-ルのトレッカ-遭難を報道するテレビ

 

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