koyaken4852のブログ

ネパ-ル暮らしの日記や、主にネパ-ルの写真を掲載

ネパ-ル登山隊 K2・8611m冬季初登頂 おめでとう 第11回

ネパ-ル人の2登山合同隊がK2・8611mの冬季初登頂おめでとう その十一回目

魔の山 K2 その2回目 「K2非情の頂」の三回目       

 ネパ-ル人だけの登山隊の世界第二位の高峰パキスタン・K2冬季初登頂の、おめでたいことから始まったこのブログ、もう11回目。

 前回は、K2の女性初登頂5名の話題から続いて、世界の8千m峰の女性初登頂者の日本人活躍の写真をみた。

 世界の8千m峰初の女性登頂、ネパ-ルヒマラヤのマナスル峰8,156mは、日本人女性の中世古直子さん・内田昌己さん・森美枝子さんの3人。実は森美枝子さんは、札幌の人でマナスル後に南1条西5丁目のビル地下でロシア料理レストランのオ-ナ-だった人。

 ネパ-ルのマナスル峰8,156mと世界最高峰エベレスト8,848mの女性の初登頂の田部井淳子さんだが、この両登山隊は男女交じった隊ではなかった。マナスル登山隊とエベレスト登山隊は、両方ともに女性だけの隊だった。

 ネパ-ルのマナスル峰8,156mと世界最高峰エベレスト8,848mの女性の初登頂の田部井淳子さんだが、この両登山隊は男女交じった隊ではなかった。マナスル登山隊とエベレスト登山隊は、両方ともに女性だけの隊だった。

 登山界だけが男女平等社会はあり得なく、1980年代まではまだ実社会と同様に、登山界も男社会だったので、隊員が男女混じった隊だったら、両ピ-クに女性が立てたかどうか、わたしは確証を掴めない、でいる。

 今回は、ジェニファ-・ジョ-ダンの著作「K2非常の頂」の三回目。

 前回のK2に登頂した女性5人について叙述した「K2非情の頂」は、1986年から1998年の5人の登山中に死亡する内容。

 前回も少し触れたが、世界や勿論日本も゛男尊女卑゛が社会問題になっていた。いや、過去形でなく現在の我が国日本の女性進出と格差は、インタ-ナショナル社会では多くの国が前進しているのに、わが国だけは特記するほどに後退しているのが現状。

 K2の頂上は、パキスタンと中国の国境になっている。書籍「K2非情の頂」のほとんどは、パキスタン側からの登山状況を書き綴っている。

 K2の登山許可はパキスタン政府から。登山隊に付いてくるパキスタン政府のリエゾンオフイサ-(係官)はパキスタン人で、登山隊装備や食料などを運ぶポ-タ-達もパキスタン人。

 車が入る村から5千mを超えるベ-スキヤンプまで150km・10日以上の日程。パキスタン人のリエゾンと女性登山隊員は、登山活動を終えるまで一緒に生活を共にすることになる。

 イスラ-ム教のコ-ランに書き記している男尊女卑条項を、教義や戒律とするパキスタン男性に交じって、キャラバンやベ-スキャンプ生活をする女性クライマ-達は、果たしてどうなるのか。

イスラ-ム宗教社会のパキスタンとK2の女性登山

 大部分のパキスタン人は、イスラ-ム宗教を信仰してる。

 社会体制を自由平等主義と標榜する国々のアメリカや欧州の女性が、イスラ-ム宗教の国のパキスタンで登山する困難が、「K2非情の頂」にも叙述されている。少し触れてみる。

 K2の女性第四登のシャルタル・モ-デュイさんについて書かれたもの。

 シャルタルは地元報道機関のインタビユ-を受け、最初の質問は「私と、ここにいる仲間に、優しキスをいただけますか?」だった。・・・・・彼女はそれまでも頭も腕も剥き出しにして、体に密着するズボンを穿いて街中を歩いていた。・・・・パキスタン人にとって、女性はふたつに大別される。処女と、そうでない女性と、そうでない後者のグル-プは、妻と娼婦に分かれる。彼らの考え方からすれば、シャルタルはどう見ても娼婦であり、・・・。

 シャルタンが・・・・スカルドに着いてホテルの主人が、夜遅く彼女の部屋のドア口に現れたからだった。・・・・主人が、立ち食い食堂に来たうえた男の目つきで、彼女を見た。いやらしい狼の目を彼女の体に這わせながら、こんなことを言った。お一人なので、もしかして私と寝たいかもしれないと思って。・・・・ノ-とシャルタンは言った。(要らないわ。今のままで十分)そしてドアを押して閉めようとしたが、男が足で踏ん張り体重を掛けて押しもどし、「でも、私は若くて強いですよ、がっかりさせません、どうです?」

 イスラム教の聖典であるコ-ランには、女性の役割が規定されている。わたしはその規定を詳細には知らない、が、子供を産む役割の女性には教育は不要、専業主婦の女性には運転免許証は不要。等々が書かれているらしい。

 体や,髪や、顔を、伝統衣装のシャルワ-ル・カミ-ズに隠す。それはゆったりと膨らむ三つ揃いで、長袖の長衣とズボン、被り物からなり、着ている人の女性的なものすべてを曖昧にする。

 確かに、シヤルタンのライクラ・タイツを穿く服装は、パキスタン人にいろいろ問題を起こす原因があった。イスラム社会の女性は、厳格な教義や戒律があって肌を見せることを禁止されているのに、惜しげもなく女体を見せつける服装のシャルタル・モ-デュイは、登山隊の集まるベ-スキヤンプの平穏をかき乱していた。

 登山活動を終えたシャルタル・モ-デュイさんは、届け出た登山隊が下山してもベ-スキヤンプに残った、といっしょに行動しなかった規則違反容疑で、パキスタン観光省に呼び出されての質問。

 「それで、あなたはベ-スキヤンプに残ろうと自分の意思で決めた。聞いたところによると、あなたが残ったのは男性全員とファックするためだったそうだが・・・・」

役人の言葉と、あからさまな表現にシヤルタンは言葉を失い、相手のカッカした顔を見つめた。

 「ばかな、わたしが残ったのは登りたかったからで、私の隊が・・・・」

 「違う、同行した連絡管(リエゾンオフイサ-)の話では、あなたは男とフアックするために残ったということだ」「クライマ-は誰かとテントに入らなければならないし、私は・・・」「いや、私が思うに、あなたはフアックを楽しんでいた、そうですね。だったら私とも楽しんだらいかがですか」。背後の男たちはくすくすと抑えて笑った。

                                                                               

 わたしは、ネパ-ルで生活を始めて13年。

 ネパ-ルの主だった宗教はヒンドゥ-教。人口の79%とか80.8%がヒンドゥ-教徒といわれている。パキスタンの情況は知らないので、教義に男尊女卑のあるイスラ-ムとヒンドゥ-なので、ネパ-ルについて触れてみたい。

 おそらく、パキスタンのK2で登山活動をする外国人の女性達と、パキスタン人男性の関係はネパ-ルと酷似なのだろう。

 ネパ-ルヒのンドゥ-教の教義は、パキスタンのイスラ-ム教と似ている。それは、男は神、女は奴隷、と言っても良いほどの女性の社会的地位。ネパ-ルでは、男の神を尊び敬うことは、具体的には女がdanと呼ぶ「布施」(贈る金銭や物品)をあげること、なのだ。処女の娘の両親が、男に嫁がせるのも、両親の神への布施、なのだ。

 ネパ-ルのヒンドゥ-教教義は、神に徳を積むことを強いている。

 他方、ヒンドゥ-教の教義に輪廻転生がある。人間以外の動物ら生まれ変わるよりも、徳を積むことで人間に生まれ変わりたい、ことが神への布施になる。

 ちなみに、男尊女卑を数字で表す典型の教育制度の識字率で見てみる。1950年代から国際連合がネパ-ルの教育機関援助が続いていても、ネパ-ル全国の1991年の統計では。

6歳以上の男性の識字率54.5%

6歳以上の女性の識字率25.0%

2001年の識字率統計では

15歳以上の男62.7

15歳以上の女34.9%

2011年の識字率統計では

5歳以上の男性75.1%

5歳以上の女性57.0%

ネパ-ルの男尊女卑

 ネパ-ルは、アジア各地の民主化運動と同時期に民主化活動が始まった。それ以前には1950年の開国から始まり、1990年を境にネパ-ル議会と国民、そして対立する国王の図式。

 1990年ころから民衆の蜂起と、武力を前面とする毛沢東派と呼ばれるマオイスト集団との内戦が始まる。

 国王の主張は、ヒンドゥ-教を国教とし、国王の居る国。

 ネパ-ル1990年憲法は、国民の民主主義主張を取り入れ「ヒンドゥ-教を国教」条項が削除された。しかし、「ヒンドゥ-教の国王の国」条項が残され、一層の民主化運動が盛り上がることとなった。

 憲法に「ヒンドゥ-教を国教」条項があって、ヒンドゥ-教を国民に定着する目的で、民法や刑法の三分一の条項がカ-ストを規定していた。その条項のほとんどが男女間の結婚やセックスに関する物で、男の違反者の最高刑が死刑。

 現在のネパ-ルは、国会で2007年に王制廃止が決議され、2008年制憲選挙後の国会で王様の退位決議、で国王が一人の国民となった。

 しかし、ネパ-ル国全体は、依然としてヒンドゥ-教社会であって、それが確固たる現実。

 カ-スト違反の法律による罰則はなくなり、最近ではわたしの友人宅ではかかあ天下の家も多い。だが、一向に高位カ-ストの男女と下位カ-ストの男女の結婚を聞いたことはない、のも現実だ。

 1997年出版の、ネパ-ルの社会に詳しい書籍記述では、詳細にネパ-ルの現状を記述してる、ので以下に紹介する。

カ-スト制度

◎生まれつきの世襲的な身分を共有するいくつもの社会的集団(カ-スト)からなる厳格な階層性のこと。

◎それぞれのカ-ストは、結婚の相手を自分達の内部だけで見つけるひとつの内婚集団。

◎生まれついたカ-ストは終生変わらない。

◎多くのカ-ストは固有の職業を持っている。

ヒンドゥ-教社会での結婚

◎敬虔なヒンドゥ-教徒は、同じカ-スト同士の結婚が良く、等嫁婚という。

◎女性が下位カ-ストの男性との結婚は嫌悪される。降嫁婚という。

◎反対に下位カ-ストの女性が上位カ-ストの男性との結婚だけが許されている。昇嫁婚という。生まれた子供は、下位カ-ストになる。

◎特にウパディア・ブラ-マンの最高位カ-ストでは厳格に守られている。それはいつまでも最高位を保つための結婚制度。

男性支配制

◎ヒンドゥ教徒にとつての家庭の内外全てにおいて常に男性が優位で、女性が劣位である組織原理。

◎ネパ-ルのヒンドゥ教徒にとつての結婚とは、両親が善根をつむために自分の娘をお布施として男性に捧げること。

◎カンニャダンとは、結婚式で花嫁の両親が娘を花婿に引き渡す一番大切な儀式。ダンはお布施という意味で、自分の処女の娘をお布施として男性に捧げる。神や司祭に金銭のお布施という善根を積むのと同じ。男性優位の象徴。

◎ネパ-ルの男女の結婚制度は、花婿側を優位、花嫁側を劣位にする仕掛けとしての結婚ともいえる。

男性支配制は結婚後も続く

◎奥さんは夫の食事が終わってから、夫の使ったきたない食器を使って、夫の食べ残しの食事をする。

◎妻から見ると夫は神。以前は毎朝、夫と舅しゅうとの足先に自分の額を付けてお辞儀し、恭順の意を表す。

◎夫婦関係は夫の実家と妻の実家の関係にも反映される。多くの、借金してでも、持参金を婿側にあげているにもかかわらず、その後も娘の婚家に経済的援助をし続けるなければならない。

◎男同士が喧嘩をして、相手を侮辱する発言にサラ(妻の弟)がある。妻は夫からは下位なので、弟も下位にみなされるのである。侮辱語の「サラ」と罵声を浴びせれは相手は増々けんかになる。

 

ネパ-ルの実際の法律条文は。

ネパ-ル1990年憲法

第5条 ネパ-ルはヒンドゥ教の・・・・王国である

第5章 国王

第27条(国王)

(一)

国王というのはプリテイビ・ナラヤン・シャハ大王の子孫でありア-リア文化とヒズ-教の信奉者である現に君臨する国王を意味する

(二)

国王はネパ-ル国とネパ-ル人民の統合の象徴である

(三)

国王はネパ-ル人民の最大の利益と福祉を念願視,この憲法を保持し擁護しなければならない

1854年ネパ-ル民法

◎三分の一以上が性関係の条文にあてられ、細心の注意を払ってカ-スト制を守っている。

◎カ-スト内の降下婚を禁止する規定はないが、カ-スト間の降下婚は禁止されていた。強制的にやめさせるべき、とする法律による規定。1964年まで有効だった。

◎最上位カ-ストのウパディヤ・ブラ-マンの女性と下位のタクリ、ジャイン、チェットリ、サンニャ-シなどの男性との性的結びつきは男性に懲役2年、その女性は男性のカ-ストに降格。

◎男性のカ-ストの低さに応じて「懲役3年」「懲役1年と奴隷」「懲役4年と奴隷」「懲役8年」最後に不可触カ-ストとでは男性が死刑で女性も不可触カ-ストへ降格。法律はあってはならない性的犯罪としていた。

                                                                                                                         

参考文献-三瓶清朝氏の「ネパ-ル紀行」

f:id:koyaken4852:20210317111911j:plain

パキスタンのK2・8,611m

f:id:koyaken4852:20210317112134j:plain

ネパ-ル・カトマンドゥ・旧王宮広場の神像

f:id:koyaken4852:20210317112240j:plain

f:id:koyaken4852:20210317112256j:plain

ネパ-ルの友人達

f:id:koyaken4852:20210317112340j:plain

f:id:koyaken4852:20210317112407j:plain

f:id:koyaken4852:20210317112431j:plain

f:id:koyaken4852:20210317112439j:plain