ネパ-ルの楽しいトレッキング その三十四
カンチェンジュンガエリア・トレッキング 六回目
ラミテ峠 Lamite Banjyang3500mを越えて、Simoua Khola川にくだってYalung GL氷河を目指す予定だった。この氷河伝いに登行するとカンチェンジュンガ峰を望むことができる。
ところがである、峠越えの日の前日に降った霰(あられ)の大雪に見舞われてしまった。
峠からSimoua Khola川を目指して下るのだが、長靴のポ-タ-が調子悪い。30cmも積もった霰にツボ足で歩くと、長靴が雪の中に残って足だけがあがる。それが一歩ごとなのだ。
仕方なく峠に引き返す。峠には小屋があり、小屋の中にテントを設営し一泊。
目指すは標高4500m。ここよりも千mも高い。ここよりも多くの積雪が予想される。
カンチェンジュンガのトレッキングコ-スの最終人家は、もう一日手前の前日に通過していて、ここより奥には人家は無い。決断は早い、ここがトレッキングの最終地とした。
ヒマラヤ登山でもそうだが、高所やヒマラヤ特有の危険には、ただ一つ回避しかない。ヒマラヤ登山では、危険を承知してのピ-クへの突っ込みが登頂の可否を決める。ここが日本の登山とヒマラヤ登山の一番の違いと云える。
そういえば、わたしは1991年ポストモンス-ン季に、ネパ-ルのアンナプルナⅠ峰 8091mにアタックしたことがある。北海道登山隊は、事前のミ-テイング時に、危険に遭遇したら登山中止する旨を話し合っていた。BC設営後、もう一日分上部にABCを建設。このABCから本格的なアタックを開始。C1からC2へとル-トを延ばす。危うく死亡事故になる雪崩が発生。ダッチリブと云われる稜線上にテント設営したC2からC3を目指してル-トメイキング中だった。そのC2に荷揚げする3名のメンバ-がC1出発直後だった。アンナプルナⅠ峰北面の通称鎌氷河からハンググレッシャ-(懸垂氷河)が崩落。その㈱を歩いていた3名メンバ-を襲う。二人は一目散に走って逃げる。一人が雪崩に埋没。
わたしが昨年の5月まで会長をしていたNPO法人北海道雪崩研究会主催の北海道雪崩講習会が行われている。この講習会の基本クラス受講者への教育に、「スカッフ&コ-ル」がある。現在では積雪期登山するほとんどの人は雪崩ビ-コンを携帯して、雪崩埋没の捜索が迅速に行われるようになっているが、このビ-コンを装着していない人の埋没捜索に「スカッフ&コ-ル」をする。
「コ-ル」は、雪のデブリに埋没している者の捜索方法で、上から雪の中に「オ-イ」と呼びかけるのだ。このアンナプルナⅠ峰の雪崩に埋没した彼は、上から雪の中に「オ-イ」と呼びかける前に、デブリの中から声を出した。走って逃げた2名が、一生懸命に掘り出す。掘ると直ぐに頭が出てきたそうな。なんとなんと、コ-ルの前に応答があるとは。
わたし達北海道アンナプルナⅠ峰登山隊は、「危険に遭遇したら登山中止する」の約束通りにファイナルとした。
「ネパ-ルの楽しいトレッキング」が今回の目的。引き返すのに決断はいらない。ここまでも楽しかったし、引き返した後はインドのダ-ジリンが次の目的地だ。
では、ネパ-ルのカンチェンジュンガ地域のトレッキング六回目を写真で見てみる。
※ 登山隊のABC
ヒマラヤ登山では、ロ-カルポ-タ-が隊荷物を運びあげられる場所をベ-スキャンプとする。しかし、登山隊としては、行ったの来たりを少なくし効率の良い登攀をしたいので、より上部をベ-スキャンプとしたいので、隊のコック達が登れる場所をアドバンス・ベ-スキャンプ(ABC)とす。
※ 「スカッフ&コ-ル」
スカッフ=雪崩ビ-コを持たない人やビ-コンが壊れた時に、雪崩埋没者を捜索する方法。捜索者の足元のデブリ雪を手で払いのけ、人の手や足など人体の一部を発見する。
コ-ル=捜索者が雪崩埋没者へ向かって、デブリ雪面から「オ-イ」と呼びかける。中に埋まっている埋没者の意識があればなんらかの声を出して、位置を知らせる。
上から呼びかける声は、女の人の高音よりも男の低い声が聞こえやすい。
ABCからアンナプルナⅠ峰北面
上部中央の頂上真下が鎌の形をした鎌氷河、懸垂氷河になっている
雪崩ビ-コン(雪崩トランシ-バ-)
ラミテ峠 Lamite Banjyang3500mの小屋
地元の少女達
行商の運び人 背に背負うのはドッコ
ドッコに掛けた紐を額に掛けて背負う
地元のニワトリ
ヒヨコが大勢
ネパ-ルのニワトリは鳥
全員木にとまっている
農家に頼み込んで泊めてもらう
台所にはトンバの器がズラリと並んでいる
ネパ-ルの地酒トンバ アワやヒエに麹を入れお酒に
そのままストロ-で飲む、無くなったらお湯を注いで3回までは美味しい
ここ、タブレジュンやビラトナガル周辺が美味しい作り方が伝統になっている
段々畑が続く
ネパ-ルの猫 ネパ-ルの箒ほうき ネパ-ルの腰掛
コ-ラ川を越える