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ネパ-ルの雪崩 その7 アンナプルナⅠ峰の雪崩 第6回目

ネパ-ルの雪崩 その七 アンナプルナⅠ峰の雪崩 第六回目

前々回はアンナプルナⅠ峰北面を襲う雪崩を写真で見てみた。

前回は北海道隊の隊員一名が埋没した雪崩について見た。

今回は、1991年10月アンナプルナⅠ峰北面のベ-スキャンプを襲った氷河雪崩を見てみる。

 この氷河雪崩、その発生点の氷河の破断面のある所と、私達が登山中に生活しているBCとの距離は、標高差約2千m、距離約5千m。この距離を最初はほぼ垂直90度の壁を、東京ド-ムの何分の一かの氷の塊が転げ落ちる。この氷塊は落下途中、傾斜の少し緩くなった斜面に当たって、粉々になり、そして降り積もる程の雪状態にまでになる。勢いづいているから突風の猛吹雪。

 雪崩の速度は最初の2千m弱を20秒、総距離5kmを70秒かかっている。最初は時速300km以上になる。初速が時速0kmからだから20秒後のほぼ傾斜の緩い斜面にぶつかる直前の時速は500kmにも達していただろう。

アンナプルナⅠ峰など6千m以上のピ-ク15座のアンナプルナヒマ-ルは、直線状の山脈でなく円形の50kmに及ぶ距離の山群。そのⅠ峰の西側に高峰4座のニルギリヒマ-ルがある。南方からニルギリ南峰6839m、続いて北側に向かってニルギリ峰6940m、ニルギリ北峰7061m、ティリチョ・ピ-ク7134mと続く。このティリチョ・ピ-クとアンナプルナⅠ峰の丁度中間にベ-スキャンプとアドバンスベ-スキャンプが作られていた。アンナプルナⅠ峰北面から流れ下る氷河は、峪状のABCを通ってBCの脇を下っている。

 BCからアンナプルナ氷河沿いにABC方向を見上げると、右上にアンナの頂上、左上にティリチョ・ピ-クを見上げることになる。

 この日も、ティリチョ・ピ-クの稜線上から氷河が転げ落ち、小さな雪崩が落ちていた。登山終了して隊員全員がBCで朝食を終えて、快晴の暖かい朝方、皆がテントから出て日向ぼっこ中だった。

 直前の小雪崩方向を見ていた私は、大きな氷の塊が「ゴロ-」と転げ落ちる様子を見た。何といおうか、背筋が寒くなる様と云おうか、どうしたら良いのかその後の行動を考えようとしたのだろうか。一瞬だった「皆逃げろ-」と叫んでいた。

 BCの氷河の流れ下るのに沿って大きな直径5mほどの大きな岩が数個ある。全員がこの岩陰に隠れることができた。

岩陰に身を伏せたが、どれ程の突風なのか、飛ばされるのかどうか。猛吹雪が通り過ぎて行った。

 負傷者はスペイン隊員一人、逃げる時に足を挫いていた。BCに設営のテント3張がペシャンコ。大きなキッチンのテントも潰れ、BC中央のネパ-ルと北海道の旗は数十mも飛ばされていた。外に干してあったシュラフ一個は、皆で捜索したがついに発見できなかった。

一人、この大雪崩を動画撮影していたメンバ-がいた。身に迫ってようやく避難した。

 

アドバンスベ-スキャンプ(ABC)

 普通、ヒマラヤ登山では、ロ-カルポ-タ-やドンキ-・ヤクなどが荷を背負って入れる所をBCとする。アドバンスベ-スキャンプとは、ロ-カルポ-タ-は登れないが隊のコックが登れる場所のこと。実質隊のBCとなる。

 

ネパ-ルヒマラヤ・アンナプルナⅠ峰BCを襲う氷河雪崩

動画はブログにアップする方法が分からないので、後日に

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