koyaken4852のブログ

ネパ-ル暮らしの日記や、主にネパ-ルの写真を掲載

ネパ-ルの地酒

 カトマンドウから少し離れた郊外に行くと、まだそこそこ地酒が造られている。ネパ-ルにも酒造法があるから密造酒になるのかな。

 ネパ-ルは亜熱帯気候でサトウキビが取れる。街角でサトウキビをジュ-スにして売っているのを見かけるが、コップを洗う水が問題なので私は飲まない。

 このサトウキビからラム酒が造られる。日本の沖縄にもサトウキビを使ったラム酒工場がある。ラム酒はサトウキビの搾りかすや絞り汁を原料にした蒸留酒。樽で寝かせるラム酒もある。

 ネパ-ルでは古くから、ククリラムやゴルカラムなどが有名。わが家のラムレ-ズンはククリラムで作っている。ククリはネパ-ルの刀・包丁。ゴルカは1769年にカトマンドゥ盆地の三王様を倒して、ネパ-ル全土統一をなした王様プリトゥビ・ナラヤン・シャハの故郷。イギリスとの二度の戦争で善戦したこともあり、イギリスのネパ-ル人雇用兵を勇敢な兵隊の意を取って、ゴルカに因んでグルカ兵という。今日でも毎年500人以上が退役し、又新兵としてイギリスへ渡っている。昨年4月25日の大地震震源地でもある。

 ラム酒について説明したが、ここでのネパ-ルの地酒にラム酒は入らない。なぜなら密造酒でないから。

 ネパ-ルの地酒には「チャン」「トンバ」「ロキシ-」の三酒類ある。それぞれみな穀物酒。

 ネパ-ル人の話を聞いていると、トンバが他の酒の素になっているようなのだ。原料が粟あわのトンバが一番美味しいらしい。そのトンバ、造り方は粟などの穀物に麹菌を入れて発酵させる。一年以上寝かせた上物もある、これは勿論アルコ-ル濃度が高い。このトンバを絞ったのがチャンらしいのだ。そして、トンバを絞らずにそのまま火で焙って蒸留したのがロキシ-。ロキシ-の造り方はウイスキ-やラム酒、日本の焼酎と同じ。密造酒のロキシ-だが、売ってくれるところがあって日本に持ち帰ったことが何度かある。カトマンドゥのホテルでダルバ-トを注文するとこのロキシ-が付いてくる。街で買うのと違い、特別アルコ-ル濃度の高い高級ロキシ-。

 初めにカトマンドゥ市外で造られていると説明したが、実は市内でも造られている。ネパ-ル人の友人のはなし。造っているのが周囲の人にばれると、政府の役人や警察に知らせられるのが怖くて、周りにも知らせずの本物の密造とのこと。私が市外で、自宅の前や庭で蒸留器で作っているのを見かけるのは、周りの家々も皆例外なく作っているからなのだ。

 トンバの里はネパ-ルの東側、カンチェンジュンガ峰の麓タブレジュン周辺。どの家の台所にもトンバを飲む器がずらりと並んで飾ってある。木で出来ていて芸術品だ。

 このトンバ、飲み方がまた面白い。あわのつぶつぶがひしめき合う酒に、まずお湯を注ぐ。それをストロ-で飲むのである。お湯にお酒が混じるまで約5分待つ。ストロ-がそのままなら粟のつぶを飲んでしまうので、ストロ-の飲み口の反対側を粟のつぶが入らないくらいにつぶす。ここでストロ-がプラスチックなら良いのだが、再利用のストロ-だから困る。ストロ-をトンバの一番下まで差し込み、そして吸い口を指で押さえて引き上げる。ストロ-の中にトンバが残っているので、それを吸い口側から空ける。ストロ-の中をトンバで洗うのである。これが本当のアルコ-ル消毒。消毒したトンバのために皿が最初から付いてくる。ネパ-ル人は一度だが私は二度することにしている。

 これからがトンバのもっと面白い所。ストロ-で飲み終わると、粟が残っている。粟にはトンバの香りや味・アルコ-ルが残っているかもしれない。さあお湯を注ごう。だんだんと薄くなるがあと2回は楽しめる。

 ネパ-ルのお祭り、友人宅に招かれ宴会。トンバが出てくる。ネパ-ルの東のタブレジュンから下ったタライ平野の、インドの国境近くビラトナガ-ル方面の人が造った高級トンバ。アルコ-ル度数が高い。お昼から飲んで酔っ払ってしまい、帰ったら2時間も昼寝をしてしまった。高級な酒は最初の一口目で分かる。

 ロキシ-は蒸留酒。弱火でゆっくりと蒸留する。一番下には穀物酒が入っている。そしてその上の器に中の穴を伝って酒の蒸気が上がり、その上の器には冷却水の器。器と器に隙間があると酒の蒸気が逃げてしまう。

ここで質問

器と器の隙間から酒の蒸気が逃げないように、何をつめるでしょうか。

三択です。  

 1.布

 2.牛の糞

 3.土

良く考えて答えましよう。

解答

正解は 2.牛の糞 でした。

だからロキシ-は美味しい。

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