ネパ-ルの王宮と寺院や仏塔 その百七回目
カトマンドゥ市内のボダナ-ト仏塔
ボダナ-ト Boudhanath その三回目
ボダナ-トの解説
ボダナ-トが建設されたのが紀元前だとしたら、インドの国王アショカ王が建てたのなら、行く先々で建立した石柱や土饅頭型の塚だったのだろう。
現在のボダナ-トは、直径27m高さ36mの世界最大級のストゥーパ(仏塔)で、東南アジア最古の文化遺産。現在はチベット仏教(ラマ教)寺院。
わたしはアショカ王が紀元前約250年頃に建立したと考えている。
シェルパ族などの仏教徒にとっても、カトマンズ第一の聖地であり、以前はヒマラヤ登山の際は、この寺にお祈りをして出発した。
インドのアショカ王が建立した塚。チベットとインドの中間点として、インド仏教をチベットに布教した最初の信仰物としての仏塔、とも考えられる。昔からチベット僧侶が巡礼で訪れている。
現在でも礼拝者は絶えることがない。夕方になると近所の住民が、時計回りに700個の経文が彫られたマニ車を回しながら、「オムマニ ペメ フム」とお経を唱えながら歩く姿が見られる。
オム マニ ペメ フムは、マニ車(コル)に刻まれているチベット仏教の祈りの言葉マントラ(真言)。「おお、蓮の内なる宝珠よ」と直訳し、「現世では罪深い私も、泥の中で育って美しい花を咲かせる蓮のように、来世ではより幸せになりたい」という、輪廻転生の信仰の真言である。
ボダナ-トでは1990年代までは、最高の礼法である五体投地の巡礼者が見られた。現在は観光の邪魔になる理由で、片隅に投地台が置かれている。
現在のボダナ-ト
ボダナ-トは直訳すると正覚寺。ボダナートの「ボダ(ボゥッダ)」は「仏陀の」「仏教の」「知恵の」を意味し、「ナート」は「主人」「神」などを意味する。
仏塔の台石は、チベット仏教の宇宙と精神力を象徴する円と正方形が幾何学的に組み合わされ、曼陀羅の形になっている。
三重になった外周の円(巡礼の宿坊と環道、無数のマニ車の外壁より成る)は、終わることのない生と死の繰り返し、輪廻を表現している。これは、仏陀の教えとして人間が輪廻の束縛から解脱できることを表現。又、ひな壇式になっている四角い基壇は大地を、その上の土饅頭のような伏鉢は水を、また上へ行くほど細く尖ってきている塔の13の相輪は火を象徴、悟りに至る行程が現示。
そして、これらの相輪の先端には風を象徴する傘があり、ストウ-パの頂には空を表す月と太陽で象徴される宝珠が載っている。
こうして、宇宙を構成する五大が仏塔によって表現され、無限と永遠を形象化している様式は、ここネパ-ルしか見れない。
「みすえる知恵の目」は、知恵の化身である蓮の花の形をした広目が四方を睥睨(へいげい=流し目でにらむ)し、森羅万象を見通している。
参考資料
在ネパ-ル日本大使館ホ-ムペ-ジ
ネパ-ル トニ-・ハ-ゲン
ネパ-ル 地球の歩き方
ネパ-ル紀行 三瓶清朝
ネパ-ルの秘境ムスタンへの旅 ジュゼッペ・トゥッチ
ネパ-ル アジア読本
NPO法人 DTACネパ-ル観光情報局
ボダナ-ト Boudhanath
ボダナ-ト解説
ボダナ-トのトップに尖塔と円形の傘
13層の塔
みすえる知恵の目
土饅頭型のド-ムと、その下に108の仏像
角ばった二段の基壇台座
最下段の外周には700個のマニ車