ネパ-ル人の2登山合同隊が、K2・8611mの冬季初登頂、おめでとう その十四回目
魔の山 K2 「K2非情の頂」の六回目
ネパ-ル人だけの登山隊で世界第二位の高峰パキスタン・K2冬季初登頂。おめでたいことから始まったこのブログ、も14回目。
前回は、ジェニファ-・ジョ-ダンの著書「K2非常の頂」の5回目で、K2の5人の女性登頂者の内4番目の登頂者シャンタル・モ-デュイが、ネパ-ル・ダウラギリⅠ峰でC2の6600mテント内で氷塊雪崩死亡を記した。
今回は、「ネパ-ル登山隊 K2・8611m冬季初登頂 おめでとう」も、最終回としたい。
女性初登頂のワンダ・ルトキェヴィチと千の風
世界第二の高峰K2が聳えるのは、パキスタンのカラコルム山塊。空港のあるスカルドから車でハバ-へ。そこからキャバンを150km進むとバルトロ氷河のベ-スキヤンプから本格的な登山が始まる。
その8,611mの頂に立った5人の女性について、全員が8千m峰で眠る様子を記述してるのが「K2非常の頂」。
今回は、K2に35歳で女性初登頂したポ-ランド人のワンダ・ルトキェヴィチの墓標について触れてみる。
ワンダ・ルトキェヴィチは、1978年10月16日エベレスト8,848mに登頂。K2登頂は1986年6月23日。1987年9月19日に中国のシシヤパンマ8,013m、1989年ガッシャ-ブルムⅡ峰、1991までにチヨ-オユ-8,201mとアンナプルナⅠ南壁と、8千m峰8座を登頂。
9座目の山はネパ-ルとインドの国境に聳えるカンチエンジユンガ峰8,586mを目指した。1992年3月に出発し。
5月21日、7900m最終キャンプのC4をメキシコ人のカルロス・カルソリオと出発するが、ワンダは遅れ、カルロスが登頂して300m下った場所の雪穴に居るワンダを目にしたのが最後となつた。ここまで女性の登頂を迎えていなかったカンチェンジュンガ、ワンダ・ルトキェヴィチにも極限の抵抗だった。
ちなみに、カンチェンジュンガの意味は、「雪の五大宝蔵」。チベット仏教の神々の神聖な御座を表し、五つの宝物、金・銀・銅・穀物・聖なる書物、を指す。
カンチェンジュンガ峰と言えば、インドのダ-ジリदार्जिलिंग。ダ-ジリンの町に旅行に行くと、まだ朝日の出る前に、外国人が車で押し寄せる丘がある。そこからは、朝日に輝くカンチェンジュンガを遠望できる。
ダ-ジリンの町から車で30分も走ると、ネパ-ルのイラム郡に行き着く。そう、紅茶のイラムティ-は、ネパ-ル人の毎日飲むチャイ(ミルクティ-)の需要を賄う収穫量。
インドのダ-ジリン紅茶畑とネパ-ルのイラム紅茶畑は、国境線を挟んで陸続き。ネパ-ルティ-のイラム茶畑の面積は小さいが、インド・ダ-ジリンの茶畑は、標高300mの西ベンガル州のスィリグリ-市内から標高2,134mのダ-ジリン町まで距離80kmが続く茶畑。それでも、インドで生産される紅茶の三分の一なのだ。
スィリグリ-市からダ-ジリンまでは、イギリス帝国インド領の名残り、ダ-ジリン・ヒマラヤ鉄道が走っている。世界最古の鉄道の一つで、世界文化遺産登録されていて、トイ・トレインと呼ぶ。この蒸気機関車、小型で車輪間が62cm。
登山の話が紅茶へ、横道を歩き出したので、元に戻そう。
カンチエンジュンガの麓には、ワンダ・ルトキェヴィチの記念碑があり、次の文章が書かれている。「恐怖心が消え、私は大いなる自由を感じた、死は解き放された」
そして、ワンダ・ルトキェヴィチのポ-ランドの墓の墓碑銘には次の様に記されている。「私の墓のかたわらで泣くな。私はもうここにはいない。私は吹きすぎる千の風」
詠み人知らずの「千の風」
作者不明のこの詩、日本では新井満の日本語訳と秋川雅史が歌っている。
「千の風」で有名なこの詩、歴史を遡れば、1977年に映画監督ハワ-ド・ホ-クスの葬儀で、俳優のジョン・ウェインが朗読。1987年女優のマリリン・モンロ-の25回忌にも朗読され。アメリカでは9月11日、前年の同時多発テロで亡くなった父親をしのんで11歳の少女が朗読。イギリスでは、1995年BBC放送で大きな反響を呼んだ、アイルランド共和国(IRA)のテロで亡くなった24歳の青年が「ぼくの死んだときに開封してください」と両親に託した封筒にその誌が入っていた、らしい。
英語詩の「千の風」
A thousand winds,
Author unknown,
Do not stand at my grave and weep,
I am not there.
I do not sleep.
I am a thousand winds that blow,
I am the diamond glints on snow,
I am the sunlight on ripend grain,
I am the gentle autumn`s rain.
When you awaken in the morning`s hush,
I am the swift uplifting rush of quiet birds in circled flight.
I am the soft stars that shine at night.
Do not stand at my grave and cry.
I am not there,
I did not die.
千の風。
著者不明。
わたしの墓の傍(かたわ)らに立って泣かないで、
わたしはもうここにはいない。
眠ってはいない。
わたしは千の風となって吹いている、
わたしは雪となってダイヤモンドの煌(きら)めきのように舞っている、
わたしは陽の光になつて熟した穀物にふりそそいでいる、
わたしは秋の雨となって優しくふっている。
あなたが朝の静けさで目覚めるとき、
わたしはわき上がる風となって、小鳥たちを輪を描いて舞わせている、
わたしは夜の輝く静かな星となって、あなたを見守っている。
わたしの墓の前で泣かないで。
私はもうそこにはいない、
私は死んではいない。
ネパ-ル・カンチェンジュンガ峰 8,586m
わたしのエベレスト女性初登頂者の田部井淳子さんからの絵葉書
ダ-ジリン街とカンチェンジュンガ峰
ネパ-ル・イラムの茶畑
インド・ダ-リジンの茶畑
ダ-ジリンの紅茶工場 茶葉を蒸して乾燥
ダ-ジリンの蒸気機関車
車輪巾62cmの小型機関車、こどもの国に来たみたい
インド・タライ平野スィリグリ-町の茶畑