ネパ-ルの王宮と寺院や仏塔 その百九回目
カトマンドゥ市内のボダナ-ト仏塔
ボダナ-ト・ストゥパ-Boudhanath その五回目
前回は、ボダナ-トが寺院でなく仏塔(ストゥパ-)なので、ストゥパ-について説明してみた。普通にはストゥ-パと発音しているが、わたしは言いやすくしゃべり易いストゥパ-を使用している。
今回は、ボダナ-トは世界文化遺産登録されていること。この世界文化遺産登録について少し説明してみたい。
ボダナ-トは、1979年に国際連合ユネスコ(世界文化教育機関)の世界文化遺産に登録されている。登録以降、その管理体制が正常でなく危機遺産の指定を経て、世界の文化修復維持の援助で危機遺産解除された。
ボダナ-トは、2015年4月25日のネパ-ル大地震で上部が壊れた。早速、チベット仏教徒はじめ多くの支援で修理修繕作業で2017年に、修理完了したらしい。
わたしは、2016年9月に訪れ、改修作業真っ最中のボダナ-トを見た。
ボダナ-トの世界文化遺産登録
国際連合のユネスコに登録されたのは1979年。カトマンドゥ盆地の7ケ所の一つとして登録。この時一緒に世界自然遺産のサガルマ-タ国立公園エリアと同時に二か所が登録された。ネパ-ル語のサガルマ-タはエベレストのこと。
ネパ-ルには、前記の二か所の他に、1984年に世界自然遺産チトワン国立公園エリア、1997年に世界文化遺産のブッタ仏陀の生誕地ルンビニが登録されている。
ネパ-ルには、世界自然遺産が二か所、そして文化遺産が二か所の四か所の世界遺産がある。
ちなみに、2008年にネパ-ル議会が王政廃止決議して、国名がロ-ヤル・ネパ-ルからネパ-ル民主共和国に変わった。それで、世界遺産もロ-ヤルの冠が外されている。例えば正式名称がロ-ヤル・チトワン世界文化遺産だったのが、チトワン世界文化遺産に。
ボダナ-トのユネスコへの登録申請は、他の六ヶ所と同時にカトマンドゥ盆地として、ネパ-ル政府がカトマンドゥ周辺の自然の景観を含めた自然遺産と文化遺産の混合遺産であった。が、ユネスコは自然景観を抜きにした文化遺産のみの登録を承認している。
ネパ-ルの世界遺産
ネパ-ルの世界遺産は全国に四か所。その内二か所が自然遺産で、他の二か所が文化遺産。
世界自然遺産 1.サガルマータ国立公園सगरमाथा
世界自然遺産 2.チトワン国立公園चितवन राष्ट्रिय निकुञ्ज
世界文化遺産 2.カトマンドゥ盆地の七ケ所काठमाडौं उपत्यका
- パシュパティナート寺院広場 Pashupatinath (Temple of livingbeings)
- ハヌマン・ドカ(猿神と門=カトマンズ旧王宮広場)Hanuman Dhoka
- パタン旧王宮広場
- バクタプール旧王宮広場
- スワヤンブナート仏塔
- ボダナート仏塔
- チャングナラヤン寺院
①~⑦は全てカトマンドウ盆地内にあり、盆地内にまとまってこれだけ沢山の世界文化遺産があるのは世界でもネパールだけ。と珍しい。
ちなみに、カトマンドゥ盆地の説明
カトマンドゥ盆地は、ネパ-ルの首都カトマンドゥ市を中心に、周りを小高い山々に囲まれた、ネパ-ルのほぼ中央に位置する標高1350m、東西約25km、南北約19km。
かっては栄光の都(Kantipur)と呼ばれていた。
修復文化遺産の登録継続は、1996年国際連合ユネスコでガイドラインの変更が行われ、これまで文化遺産を修復再建した場合は登録が取り消されていたが、修復建造物も登録が継続されるようになった。
2003年~2007年の一時期は、急激な都市化と文化遺産の維持管理体制不備などにより、世界文化遺産は危機遺産の指定を受けていた。
世界文化遺産の概観と定義
世界文化遺産定義は、顕著な普遍的価値(OUV :Outstanding Universal Value)」を有する記念工作物や建造物群、遺跡など。
世界自然遺産の定義は、顕著な普遍的価値(OUV)を有する地形や地質、絶滅危惧種や固有種の生息域・自生地など。
世界遺産登録はどのようなものか、又どのような手続きで登録されるのかを見てみる。
世界遺産は、1972年の第17回ユネスコ総会で採択され、1975年に世界遺産条約が発効。
世界遺産条約は、正式には「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」。
文化遺産や自然遺産を人類全体のための遺産として損傷、破壊などの脅威から保護・保存していくために、国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的とした条約。
日本はこの条約を1992年に締結・国会で批准。
世界文化遺産登録の具体的な手続は、世界遺産条約履行のための作業指針で定められている全10項目からなる登録基準(評価基準)のうち、1~6の登録基準の1つ以上を満たすことが条件。ただし、1996年以降は登録基準「6」単独での登録は認められていない。
世界文化遺産登録基準(評価基準)
1.人類の創造的資質を示す傑作。
2.建築や技術、記念碑、都市計画・景観設計の発展において、ある期間または世界の文化圏内での価値観の交流を示すもの。
3.現存する、あるいは消滅した文化的伝統、文明の存在に関する独特な証拠を伝えるもの。
4.人類の歴史上の重要な段階を示す建築様式、建築・科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本。
5.ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落や土地・海上利用の顕著な見本。もしくは、危機に晒されている、人類と環境の交流を示すもの。
6.顕著な普遍的価値をもつ出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的・文化的作品と直接または実質的関連があるもの。
世界自然遺産登録登録の手続は、全10項目からなる登録基準(評価基準)のうち、7~10の1つ以上を満たすことが条件となる。
世界自然遺産登録基準(評価基準)
7.ひときわ優れた自然美・美的価値を持つ類まれな自然現象や地域。
8.生命の進化の記録や地形形成における重要な地質学的過程、または地形学・自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要段階を示す顕著な見本。
9.陸上・淡水域、沿岸、海洋の生態系、また動植物群集の進化、発展において重要な進行中の生態学的・生物学的過程を代表する顕著な見本。
10.絶滅の恐れのある学術上・保全上顕著な普遍的価値をもつ野生種の生息域を含んだ生物多様性の保全のために最も重要な自然生息域。
世界遺産リスト
世界遺産リストは、2017年現在、1073件が登録されている。
世界遺産条約の締約国は193ケ国で、その中で、国内に世界遺産を保有する国は165ケ国。
世界遺産の種類とその数
文化遺産832ケ所
自然遺産206ケ所
複合遺産35ケ所・自然と文化の両方
危機遺産54ケ所
登録抹消遺産2ケ所
参考資料
在ネパ-ル日本大使館ホ-ムペ-ジ
ネパ-ル トニ-・ハ-ゲン
ネパ-ル 地球の歩き方
ネパ-ル紀行 三瓶清朝
ネパ-ルの秘境ムスタンへの旅 ジュゼッペ・トゥッチ
ネパ-ル アジア読本
NPO法人 DTACネパ-ル観光情報局
ボダナ-ト・ストゥパ-Boudhanath
ボダナ-トの正面
ここから基壇の上に登り、自由に歩ける
基壇の上
ゾウにまたがるお釈迦様・ブッダ