koyaken4852のブログ

ネパ-ル暮らしの日記や、主にネパ-ルの写真を掲載

ネパ-ルの宮廷と寺院・仏塔 第25回

ネパ-ルの王宮と寺院や仏塔 その二十五回目

寺院と仏塔 その八回目  カトマンドゥ旧王宮広場の寺院と仏塔 その七回目  クマリの館の二回目

 

前回から、カトマンドゥ王宮広場内にあるクマリの館の写真を見ている。

 今回は、クマリの館に住んでいる、生き神様のクマリの写真を見てみる。ここのカトマンドゥ王宮広場に住むクマリは、2008年までロ-ヤル・クマリと云われていた。カトマンドゥ盆地内にいる10人のクマリの内、ただ一人国王に「ティカの儀式」を行い、国王を祝福した。国王はここのクマリにひざまずいて、祝福を受ける。

 このクマリ制度に至る前の歴史は、10世紀ころの南アジアのヒンドゥ-教や仏教が起源。

 女性に神が乗り移って儀式を行うことを当時の君主が大いに関心を寄せていたことから始まったと云われている。

 

ネパ-ルでのクマリの役割

 クマリは、ネパ-ルで愛される生き神様。しかし、その宗教的歴史的厳格さがある。

 クマリは、ヒンドゥー教の女神タレジュの生まれ変わり。タレジュはシヴァ神の后で、一撃で相手を倒す力を持っている憎悪とか嫉妬といった女性の裏側の力をも象徴する。この女神は、とくに国家を守護する非常に力のある神。だから、国王がクマリにひざまずき崇拝した歴史がある。

 クマリの宗教的役割は、未来を予見し、病気を治し、願い事を叶え、災厄からの加護、地域や家族の繁栄をもたらすなどの、ネパ-ル国民にご利益がある。

 又、現世と神の橋渡を行い、ネパ-ル語でマイトリ・バ-ヴァナ-と云う慈愛の心で、万人を慈み、その境地を信者にもたらす。

 歴史的にネパ-ルのネワ-ル族がクマリを信仰し、生き神様として崇拝してきた。カトマンドゥ盆地に10人のクマリが居るが、ネワ-ル族はカトマンドゥ盆地に多く住むネパ-ル系ネパ-ル人。

 

生き神様のクマリ

 生き神様と云われるクマリは、ヒンドゥ-教大女神のドゥルガ-神や昔のネパ-ル王国の守護神タレジュ女神、そして仏教徒カラハヴァジラ・デ-ヴイ-密教女神などが宿るとされている。

クマリの額には、第三の眼が描かれている。この第三の眼は、善知善能を現す。

 この生き神様のクマリ、衣装は赤色でなければならない。赤色はは創造のエネルギ-を表し、ネパ-ルでは赤い服は既婚者に限られているがクマリだけは例外。

 

クマリの選任はどの様に

 クマリを選ぶ過程では、カ-スト制度の最上級カ-ストである占星術師とクマリ選任士が関わる。

 占星術師の役割は、予め作成されているホロスコ-プと呼ばれる占星図に基づいて、女神のシンボルとなるクジャクの星回りに当てはまる少女を探すことから始まる。

 初潮前の少女で、占星図に示されている内容と合致するものを選別して3名に絞り込む役割がクマリ選任士の仕事。

 最初の選考では、3,4歳前後に32の身体の特徴と、厳しい条件に合格した少女が選考される。

 初潮前でなければならないのは、ヒンドゥ-教の教義による。ヒンドゥ-教教義では、女性の月の物の月経中は、他の家族と一緒に食事もできないほどの汚れとされている。

 クマリになるためには32の条件を満たす必要がある。32は、死んだ水牛の首を見せられても平然としていること、雀のような低い声、泣かない、お釈迦様に似ている、などの条件がある。わたしは、32の事要件を調べているが、この4条件以外が不明。誰か分かる人はねどうか教えてほしい。

 クマリの最終選考は司祭が行う。この司祭、これもカ-スト制度の最上級カ-スト。司祭のなかでも主任司祭が行う。行う選考儀式は、3候補クマリとその家族、そして見物人と参拝者などが集う中で行なう。

 儀式場所には赤土に牛糞を混ぜた清めの土を床の一角に塗り、儀式用にはランプと水差し、花輪、供物、牛乳を固めたカ-ドと云われる凝乳、フレ-ク状の干米などの品々が置かれる。

 牛糞は、相当以前だが最上位カ-ストの家で飼われていた雌牛の糞を、台所の床の掃除にも使われていた。台所は神聖な場所でそこを清める牛糞。

 

タレジュ寺院で行われる最終選考

 旧王宮広場の後ろ門のすぐ側の寺院、広場で一番大きなタレジュ寺院内で、最終選考会議が行われる。寺院での会議は、ヒンドゥ-教の神が宿る儀式を行い、神の力を得る。

クマリの最初の選考は、ネワ-ル族カ-ストであるサキャ族から初潮前の少女が選ばれる。

 

 今回は、わたしのカメラで撮った、カトマンドゥのタメ-ル地区のキラガル・クマリを写真で見る。 

 

クマリの館

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クマリの最終選考が行われるタレジュ寺院

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カトマンドゥ盆地の10人のクマリ

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カトマンドゥ市内4人のクマリ

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キラガル・クマリとその一家が、現在のタメ-ル地区の南東側にあるストゥパにお参り

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