koyaken4852のブログ

ネパ-ル暮らしの日記や、主にネパ-ルの写真を掲載

ネパ-ルの借家  第10回

ネパ-ルのフラット探し (ネパ-ル暮らし雑感) その十回目

ネパ-ルの電気事情

 

 ネパ-ルの電気は、人口の多い都会では日本と変わらない。ただ一つ、日本と違うのは停電の時間が長く、毎日のように停電がある。

 外国から、発電所建設の援助の申し出があるらしいのだが、ネパ-ル議会の議員や政府の役人達が、電気に無関心のために実現しないらしいのだ。

 ネパ-ルの人達は、停電が一年中続く電気事情に不満はないのだろうか。ネパ-ルが130年間の鎖国政策を解いて開国したのが1950年、それから67年しか経っていない。一日の内の何時間かの通電だけでも良いのだろう。わたしは、ネパ-ル人の国や電力会社への不満の声を聞いたことが無い。

 

わたしなりにネパ-ルの停電に対処

 わたしは、10年前からネパ-ル暮らしを始めた。ネパ-ルに滞在中は、いやなことや嫌いなことはしない生活をしている。楽しい事のみのネパ-ル暮らしを求めているのだが、はたして夜に電気のない生活が楽しいだろうか。冷蔵庫・冷凍庫がただの箱で良いのだろうか。初めのうちは、ロ-ソクで明かりにしていた。そして、仕方なく次に自動車のバッテリ-を購入した。夜にはロ-ソクの明かりが隅から隅に届かず、小さな明かりだが自助防衛するしかない。

 2013年に、ようやく大家さんが、大きな自動車のバッテリ-を購入し、電気工事をした。

 わたしは一階のフラットに暮しているが、3階に入居のわたしの友人は、ソ-ラ-発電を始めた。

 

ネパ-ルの電線は家の数ほどの電線数

 ネパ-ルの都会で、電力会社の通電を受けている家は、日本と同様の電線の配線がなされている。けれども、日本の電線とは少し違う。

 何が違うか。日本では、元々の太い電線から、T字型でそこから細い電線で各家に配線されているが、ネパ-ルは違う。なんと、家の数だけ電線が配線されているのだ。大通りに配線された太い電線は日本と同じ。そこから、全ての家まで、家の数だけ別々の電線を敷いている。

 

電話線や有線放送の線も、家の数だけ配線されている

 電線と同様に、電話線や有線放送の線も家数だけ配線されているのだから、電信柱から電信柱間が見ものだ。

 ネパ-ルの電気事情は、わたしがネパ-ル生活を始めた10年前から、今日まで一切の変化もなく、相変わらずなのだ。

 

以下は、わたしのネパ-ルの友人のホ-ムペ-ジに2009年に掲載されていたもの 

国民の56%が電気の恩恵に
 日本等先進国では通常長時間の停電もよほど不測の事態がないかぎり起こりえないし、電力の普及率などは話題にもならないが、開発途上国ではインフラ整備のなかでも最も資金を必要とする電源開発は難しい課題である。
 ネパ-ル政府の生活標準調査( Living Standard Survey)2008年によれば、ここ5年間で電気の恩恵に浴する家庭が大幅に増え5年前の2003年には37.2%であったが2008年には56%になった。しかしながら、電力を管理するNEA(Nepal Electricity Authority 電力庁)によれば、依然として盗電、メーター改ざん、電気代の不払いが多く運営は困難をきわめているようである。

 

電力危機!

需要電力770MW-供給電力420MW=不足350MW
 2008年12月17日、ネパ-ル政府は閣議で”電力危機”を表明した。
 従来からネパ-ル政府は週40時間以上のおよぶ計画停電を実施しながら実際にはほとんど危機感を持った解消策を打ってこなかった。政治家の言う夢のごとき数十年先の計画は聞くには心地よいが実施機関である電力局のエキスパートは全く異なった現実的な評価をしており、これによればここ10年で電力の不足を解消する手立ては無いとしている。
 新しく発表された閣議決定の計画では2009年6月までに200MWの火力発電を運転開始するとのことであるが詳細は未定である。関係者の話によれば閣議決定は危機を意識したと言う点で歓迎できるが土地収用の問題、燃料の問題、肝心な資金の問題等解決されなければならない課題は山ほどあり到底実現不可能としている。
 今週からついに週45時間の停電になった。カトマンズ盆地では夕刻5時から8時、9時まで電気の灯っている地域は無い。世の中真っ暗闇だ!

 

ネパールの電力事情
 本来ならば雨季(6月から9月)は水力発電に頼っているネパールでは計画停電が無いはずであるが、今年は現在でも週30時間以上の停電が続いている。原因は何なのか、関係官庁の役人や政治家の話を聞いて見よう。
▲ NEA(Nepal Electricity Authority 電力局)
 計画停電はすぐには解消されない!!!
 NEA System Operation Department によれば、現在のような計画停電はすぐには解消する見込みはない。原因は幾つかあるが、第一番にはカタリヤ/ドハビ間の(インド・ネパール国境の地名)送電塔が8月の大洪水で倒壊した為、インドから購入している60MWの送電が途切れた事。第二番目にはクリカニ(ネパール国内の地名)ダムの貯水量が例年より25Mほど水位が低いこと。三番目にはネパールの発電所は流れ込み式で、これから乾期に向かう為水量が期待できないこと。そして最後に漏電、盗電の問題がある。およそ15%から25%が失われており早急な解決は難しい。
 残念ながら非常に悲観的である。
▲ 電源開発セカンド・トップ・プライオリテイ
 ネパ-ル大蔵省により議会に提案された2008/2009年度の予算では農業開発に続いて電源開発への予算が多く配分されている。首相を委員長とする電源開発委員会によればこの10年で10,000MWの発電を実現するとのことである。
 列挙すれば

 

1.

Upper Tamakoshi

456MW

 

2.

Upper Trishuli-A

60MW

 

3.

Rahughat

30MW

 

4.

Naumure

245MW

合計791MWの建設は本年度中に始まる。
同時に

 

1.

Upper Trishuli-B

30MW

 

2.

Tamor-Mewa

110MW

 

3.

Upper-Seti

127MW

 

4.

Dudhukoshi

300MW

 

5.

Tamakoshi 2&3

500MW

 

6.

West-Seti

750MW

合計1,827MWの建設が始まるだろう。
しかしながら、いずれのプロジェクトも明確に発電開始の時期は明記されていない。
▲ 環境アセスメント(EIA)調査は不要
 政府は民間からの電源開発投資に対する規制を大幅に緩和しているが、この中で環境調査が従来大きな障害となって民間からの投資が無かったことを受けて50MW規模までの電源開発にはEIA(Environment Impact Assessment)は免除されることになったが、専門家はこれは環境問題への深刻な挑戦であると述べている。
▲ 計画停電スケジュール
 カトマンズを中心に7つグループに分けて停電は実施されている。 その一つの地域の場合。

 

日曜日

15:00~18:30

17:30~20:30

 

月曜日

07:30~09:30

 

 

火曜日

05:00~07:00

16:00~19:00

 

水曜日

13:00~16:00

 

 

木曜日

07:00~10:00

17:45~21:15

 

金曜日

06:00~08:00

18:00~21:00

 

土曜日

10:00~13:00

 

 

 ネパールの電力事情 ”どうなる電力不足”
 電力の不足はネパ-ル産業界のみならず一般市民生活に多大の苦難を強いているが、政治家がアドバルーンを揚げているように簡単には解決しそうもない問題のようである。
 幸いなことにJICAの電力開発専門家である尾崎行義氏がネパール政府水資源省のNEA(Nepal Electricity Auhtority)に電力開発で勤務しておられるのでお話しを伺い、かつ専門家としてのご意見を寄稿して頂いた。資料とあわせて参考にして頂きたい。

尾崎行義(日本JICA派遣電力開発専門家)
 本紙面をお借りしてネパールの電力事情についてお話させて頂きます。
 現在河川流量の多い雨季にも係わらず、週31時間の計画停電を強いられていますが、迫り来る乾季にどうなるかのか、数年先にはどう予測されるのかについてお話いたします。
1. はじめに
 ネパールの全ての河川(6,000以上)は大河ガンジス川
   1.流域面積 1,083,000km2
   2.流域延長 2,500km
   3.平均流量 14,300m3/s
流入し、その河川流量の4割以上(乾季には7割以上)をネパールから流下する河川が占めている。まさに”聖なるガンジス”の源であります。
 これら河川が生み出す”白い石炭”あるいは”白い石油”と称せられる水資源の発電ポテンシャル(包蔵水力)は83,000MW、そのうち技術的、経済的に開発可能な包蔵水力は42,000MWと言われているが、今までに開発された水力発電設備は564MW(但し総発電設備力はデイーゼルを含めて617MW)にすぎず、残り90%以上が未開発(未利用)の状態にある。
 昨今クリーン・エネルギーである水力発電は世界的に見直されており、ネパールの水力開発も地球温暖化対策の一環として注目されている。

2. ネパールと南アジア諸国の電力事情比較
 表-南アジア諸国の主な電力統計指標は、(社)海外電力調査会が2006年末現在の南アジア諸国の電力状況をまとめたものである。
 2006年末時点の総発電設備容量は616MWにすぎず、これは最新鋭の原子力発電所あるいは大型火力発電所の一基(1,000MW~1,300MW)分にも満たない設備容量である。これら発電所で発生した電気は約800万人に供給され、残り約1,800万人は未だに電気の恩恵に浴せずケロシンランプや薪に依存した生活を強いられている。
 ネパールには小規模の火力発電所ディーゼル)がヘトウダとビラトナガール近郊にあるがこれら2箇所の発電所は緊急時一時的に運転されるのみで、年間を通した発生電力量からみると100%水力発電に依存していると言っても過言ではない。ネパール政府は今後とも貴重な水資源を有効活用する水力発電開発を唯一の政策目標として掲げている。
 他の南アジア諸国の電力状況と比較すると一人当たりの消費(販売)電力量が最も少なく、また電化率(30%)も南アジア諸国の中で最低ランクに位置しており、ありあまる包蔵水力を有しながら最も電化の遅れた(言い換えれば、経済活動の不活発な)国であることが分かる。
 一方、平均販売単価を見るとネパールが最も電気料金が高く、インドの1.17倍、バングラデッシュの1.55倍、ブータンの3.34倍の電気料金単価が設定されている。これは、

 

総発電量の三分の一を占めるIPP(独立発電業者ー民間投資者)からの購入単価が高い。

 

外国からの資金援助(通常1%前後の金利)を受ける場合、ネパールは借り手であるNEA(Nepal Elictricity Authority)に対し2ステップローン(現在は8%)を適用している。

 

小規模発電所が山間僻地に点在しスケールメリットが無い。

 などの理由によるものである。
 参考までに、ネパールの主な発電所の位置を示しておく。なお、図中のMiddle Marsyangdi(70MW) ,Chanmelia(30MW), KUlekhani Ⅲ(14MW) は現在建設中の発電所である。
3. 今後の需給バランス予測
 2007/08年度の最大ピーク需要は2007年12月31日に発生し、約720MWであった。過去のピーク需要も冬期の12月あるいは1月に発生しており、年8.9%の実績伸び率を示している。NEAの電力需要予測によると、今後10年間で年率9~10%の需要増が見込まれており、2011/12年度には1,000MW、2019/20年度で2,000MWを超えるピーク需要が想定される。
 一方、供給サイドの発電設備能力は2007年12月31日現在で総計551MW(当日の発電設備出力:450MW、インドからの電力輸入:101MW)であり、ピーク需要720MWとの差169MWが供給電力不足となり、Load Shedding(計画停電)を行っている。2007/08年度の停電時間は最大48時間/週であった。
 現在建設中の主な発電所は、Middle Marsyangdi(70MW,2008/09年完成予定)、Chamelia(30MW、2011/12年完成予定)とKulekhani III(14MW、2011/12年完成予定)の3地点のみであり、2011/12年現在での供給可能設備出力は小規模IPPによる発電およびインドからの電力輸入を合わせても710MW程度と予想され、ピーク需要1,057MWに遠く及ばず、その差344MW分は計画停電を余儀なくされる(停電時間が長くなる)こととなろう。
 その後Upper Trishuli 3A(60MW)、Upper Tamakoshi(309MW)、Upper Seti(127MW)、等NEAが現在計画中のプロジェクトやインドなどの民間企業が開発しようとしているArun III(402MWうち、ネパール分88MW)、Upper Karnali(300MWうち、ネパール分36MW)、West Seti(750MWうち、ネパール分75MW)、等BOOT(あるいはIPP)プロジェクトが計画通り順調に完成すれば、2014/15年頃には深刻な電力不足も相当解消されるもと期待される。

 図-Power Demand and Supply Balanceは各年毎の電力需要と供給可能力の推移を予測したものであり、需要曲線と供給曲線の開きがすなわち電力不足(計画停電)分となる。開きが大きくなる程、電力不足が深刻化する。(今後、2012/13年にかけ年々その深刻さが増す)ことを示している。また、図-主な水力発電予定地(大規模水力計画を含む)は2016/17年頃までに完成が着たいされるプロジェクトサイト、出力、完成予想年を示す(白抜き地点を除く)。
おわりに
 結論として、以下のことが予想されます。

 

今年の暮れから例年にかけての乾期は、ほぼ07/08年と同程度の電力不足(計画停電)になる。

 

その後、09/10年から12/13年にかけ、電力不足がその激しさを増す(年々、停電時間が長くなる)。

 

現在計画されているプロジェクトが順調に進めば、13/14年以降の電力不足は相当解消する。

 最後に、先日”プラチャンダ”首相がインドを訪問した際、今後10年間で10,000MWの水力開発を行う旨の発言をしている。ネパールの貧困削減、経済発展の原動力としてこの世界で数少ない豊かな包蔵水力(クリーンエネルギー)を大いに活用されんことを期待してやまない。

 

ネパ-ルの名物 数十本の電線

 

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