ネパ－ルのフラット探し （ネパ－ル暮らし雑感）
前回は、１０年前にネパ－ルの首都カトマンドゥ市内で、借家探しをしたことを書いてみた。
今回は２回目。
ネパ－ルは路地や家の中はゴミだらけ
１０日間に亘って探した借家。わたしの希望にかなったのは、ただ一軒のみだった。ネパ－ル人は韓国人や中国人と同様に、そこらじゅうゴミだらけで、どこの家も毎日掃除をしても一週間くらいかけないと綺麗にならない位の汚さなのだ。そんな中で、お手伝いさんの雇用のいらないフラット貸で、きれいな一軒を見つけることができた。
ネパ－ルは、ヨ－ロッパと少し似ているところがある。家庭ゴミは、一週間に二度ほどゴミ収集車が集めている。これは日本の自治体がゴミを集めているのと同様。カトマンドゥのゴミ収集は、比較的裕福な家のみの収集で、一か月１００ＲＳルピ－を支払う。１００ＲＳルピ－の支払いに応じない家庭は、道端の指定されたゴミ捨て場に投げている。札幌ではゴミは分別してゴミ置き場に出すが、カトマンドゥでは、全てのゴミをプラスチック（ビニ－ル）に入れても入れなくとも良い。
道端のゴミ置き場は、一週間分の生ゴミを含めたゴミの山になる。野良犬の格好の餌場だ。
ヨ－ロッパとネパ－ルの類似点は、散らかるごみを清掃する清掃員が居ること。ネパ－ルでヨ－ロッパと異なるのは、清掃員がヒンドゥ－教の教義のカ－スト制度と関係しているところ。
ゴミ収集人は最下位カ－ストの仕事
ネパ－ルはヒンドゥ－教徒が人口の８０%。１９９０年代まで、憲法にヒンドゥ－教が規定されていて、国教だった歴史がある。
１９９１年から始まったネパ－ル全土の民主化。国王との対立があり制憲選挙の結果、２００８年に国王が退位。それまでの憲法には、「ネパ－ルはヒンドゥ－教徒の国王の国」の条項があったほど。現在の国名はネパ－ル民主共和国だが、王様が憲法に規定されていた時代は「ロ－ヤルネパ－ル」。
ゴミ収集人とカ－ストの関係は？
第４条 国王 ・ ネパールは多人種、多言語、民主的、独立、ヒンズー国家、立憲君主の王国である。
第１１９条 国軍 ・ 国王は国軍の最高指揮官である
現在では、「国教としてのヒンドウ－教」や「民法のカ－スト制度違反の罰則規定」「牛刑法」などが廃止されている。
しかし、ネパ－ル人の８０%がヒンドゥ－教徒なのは変わらず、ヒンドゥ－教の教義も変わらない。宗教のヒンドゥ－教は、ネパ－ルの民主化の及ばない領域。ゆえに、国民の間には教義のカ－ストは根強く根付いている。
わたしは驚ろいた。ネパ－ルの民主化が始まる前のネパ－ル民法の規定。カ－スト制度の男女間のセックスや結婚についての罰則規定は、人間として許せない程の厳格さ。
最上位カ－ストに属する女性は、下位カ－ストの男性と付き合ったり結婚すると、その男性が罰せられる。宗教が憲法で国教規定していると、その宗教の教義を国民に強制するための法律が必要になる。
上下間カ－ストの、結婚に対する罰則規定の一例を紹介する。最上位カ－スト女性と下位カ－スト男性との性的結びつきは男性に懲役２年 その女性は男性のカ－ストに降格。そして男性のカ－ストの低さに応じて「懲役３年」「懲役１年と奴隷」「懲役４年と奴隷」「懲役８年」。 最後に不可触カ－ストとでは男性が死刑で女性も不可触カ－ストへ降格。ネパ－ル民法はあってはならない性的犯罪としていた、と云うのだから驚かずにはいられない。
この法律は、紀元後２００年までにインドで成立した「マヌの法典」の意識と同じ、だと云われている。２千年もの間、延々と宗教の名のもとに、一最上位カ－ストの富と地位と支配のために、制度が続けられた歴史がある。現在進行形だから、わたしはもっと驚いている。
良く考えてみると、ヒンドゥ－教の教義のカ－ストは、最上位カ－ストが常に最高位を保つ為にだけある制度と云える。
話しがゴミ収集から横路をある歩き出したので、元に戻る。
ゴミ収集人のカ－ストは、「ボデ」とカ－スト名で呼ばれ、カ－スト制度の最下位に属している。
左・最初の借家 右・２０１６年の借家
ネワ－ル族の大家さん一家 テイハ－ル祭のティカ儀式
借家に入っているアメリカ人にティカの儀式
借家のフラット一階内部
