koyaken4852のブログ

ネパ-ル暮らしの日記や、主にネパ-ルの写真を掲載

ネパ-ルの楽しいトレッキング 第82回

ネパ-ルの楽しいトレッキング その八十二回目

番外編 ネパ-ルのトレッキングガイドと友情は育めるのか

 前回は、ネパ-ルのトレッキングに関わる料金で、日本国内旅行会社やネパ-ルのエ-ジェントに支払う費用以外に、どのような費用が掛かるのか考えてみた。

 今回は、ネパ-ルヒマラヤのトレッキング中、行動を一緒したガイドと友達になれるのか、友情をはぐくみ深めることができるのか、考えてみたい。

 

 ネパ-ルヒマラヤのトレッキングを終えて、一か月を過ぎた頃、自宅の郵便受けにネパ-ルからの便りが届く。前回のトレッキングに同行したネパ-ル人ガイドからの手紙。便りの内容は、お元気ですか。○○ヒマラヤトレッキングは楽しかったです。またネパ-ルに来てください。

 初めてネパ-ルヒマラヤを歩いて、同行してくれたガイドの顔を想い出す。当時の写真を眺めながら親しく接してくれた、そして一生懸命に私のために働いてくれたガイドだった。こんどネパ-ルを訪れる時には、またこのガイドを指名して、もっと親しくなって友達づきあいもよいだろう。と懐かしく、再度のネパ-ル訪問に思いを馳せる。

この手紙を受け取った人は、このネパ-ル人ガイドと友達になれるでしようか。

 わたしは10年前から、ネパ-ルにフラットを借りて生活している。ネパ-ル暮らし10年で学んだのは、トレッキングのお客としての日本人と、その日本人から給料をもらって働くネパ-ル人ガイドは、友人関係になれない、という結論。

 わざわざ郵便をくれたガイド。この手紙をきっかけに、またネパ-ルに行きたくなり、このガイドとのつながりのきっかけにもなった。

 ガイドからの手紙は、そのガイドが個人で送ってくれることもあるでしよう。しかし、ほとんどの場合は雇い主のエ-ジエントの指示なのです。ガイドの雇用主であるネパ-ルのエ-ジェント社長が、使用人のガイドにセ-ルス・営業としての、再度のネパ-ル行のお誘い手紙なのだ。これらのセ-ルス活動は世界共通で、ネパ-ルに限ってのことではない。

 日本人のお客さんは、ガイド料を含めたトレッキング費用をエ-ジェントに支払う。トレッキングに関しては最初から最後までガイドと同行することになる。ガイドとの関係は使従関係そのもので、身を尽くしてとまではいかなくとも、一生懸命に私のために働くガイドであっても、それだけのこと。

ネパ-ルの雇用関係は、ヒンドゥ-教のカ-スト制度が関係する。

 その土地の人がその土地で生きていくには、その土地の宗教習慣や生活習慣に従うのが普通。日本人は、得に北海道で生活している市民は、古くからの土地の習慣がない。宗教もお葬式の時に自分の祖先からの宗派を確認するくらいで、日常の宗教習慣はない。

 それでは、ネパ-ルはどうか考えてみる。ネパ-ルはヒンドゥ-教徒が80%、仏教徒が10%、その他の宗教と無宗教が10%。ほとんどのネパ-ル人はヒンドゥ-教徒で、その信仰度は熱心と云おうか、生活の全てと云っても過言ではない。このヒンドゥ-教の教義のカ-ストが関係して、日本人とネパ-ル人ガイドの友情を阻害している。

 ヒンドゥ-教の教義にカ-ストがある。ここで「教義」と書いたが、わたしから見るとその厳しさから「戒律」と云える。イスラ-ム教の戒律と同じ。このカ-スト制度は、最高位カ-ストの持つ富や権利などを一人占めする社会集団の身分制度。この最高位カ-ストの地位を維持するために、幾つかの下位カ-スト達が居て、地域集団社会を構成している。

 ネパ-ルの登山やトレッキングの代理店を営むエ-ジェントの経営者は、この最高位カ-ストが多い。最近は、ここ20年くらいは下位カ-ストの経営者も増えてはいるが。ネパ-ルでガイドを誘って、ランチや夕食を食べにレストランに行った人が気が付いてことがあるだろう。日本の居酒屋に行くように、ネパ-ルのレストランに入ろうとする。ネパ-ル人ガイドが店内を覗いて、「ここには入れませんから、違う場所に行きましょう」。下位カ-ストは上位カ-ストが食事している同じフロア-には入れないのです。昔は、最下位カ-ストは上位カ-ストの台所を見ても覗いてもダメな戒律があったのです。いや、昔でなく現在もです。水(聖水)のある場所を見ることを禁じている。

 ネパ-ルでは日本の資本主義経済の経営者と労働者の関係とは、その関係は全てが異なり、わたしには理解不能の社会と写ります。ネパ-ルでの現実を知らない日本人には何のことなのか理解以前でしよう。

 ガイドに賃金を払う日本人、貰うネパ-ル人ガイドの関係は、ネパ-ル国内に限ってはカ-スト関係に近づくのです。友情を深めた友人関係にはならないのです。日本人のわたしには大変残念と云うほかありません。

少ない例を挙げての説明ですが、ヒンドゥ-教のカ-ストCasteを具体的に説明

 最上位カ-ストの人種はインド系ネパ-ル人のブラ-マンBrahmanとネパ-ル系ネパ-ル人のネワ-ルNewar。

 上位から下位までのそれぞれのカ-ストは、生まれつきの世襲的身分を共有する社会的集団(カ-スト)からなる厳格な階層性を備えている。世襲なので日本人のわたしはヒンドゥ-教徒にはなれない。生まれついたカ-ストは終生変わらず、生涯自分の意志でも変えることができない。

それぞれのカ-ストは、結婚の相手を自分達の内部だけで見つける内婚集団。

1990年に新民法が制定する以前の旧ネパ-ル民法の規定

 女性が下位カ-ストの男性と結婚はできない。この法規範を破ると、男性のカ-ストの低さに応じて男性が「懲役3年」「懲役1年と奴隷」「懲役4年と奴隷」「懲役8年」、最後に不可触カ-ストとでは男性が死刑で女性も不可触カ-ストへ降格。この法律は、あってはならない性的犯罪として規定していた。

また、女性が上位カ-ストと結婚した場合、その子供は女性の下位カ-ストに属する。

 この旧民法の意味するところは、ヒンドゥ-教カ-ストの最上位カ-ストの純粋性を法律で維持しようとした。

 ヒンドゥ-教の神様シヴァ・パ-ルバティShiva Parvati k の乗り物である牛に関する牛刑法も制定されていた。牛を傷害や殺したら懲役○○年。

 2008年に法律上は暫定憲法が制定され、2009年に国王が退位。憲法上のカ-ストは廃止された。だが、ネパ-ル人の80%は今もヒンドウ-教徒。ヒンドゥ-教のカ-スト制度が変わった訳ではない。

 暫定憲法制定前のネパ-ル憲法には、「この国はロ-ヤルネパ-ル・王国」「国王はヒンドゥ-教徒でなければならない」と規定されていた。

カ-ストと職業

 上位から下位までのそれぞれのカ-ストは、固有の職業についていて、その職業は上下序列のなかにかなり明確に位置づけられている。この上下序列職業が集団として村落単位を作り、又ネパ-ル国を一地域として成り立っている。

 

 ネパ-ルのヒンドゥ-教は、インド人がネパ-ルに移住・侵入してから定着した。インド人が持ちこんだ宗教のヒンドゥ-教の教義は、紀元後200年にインドで成立した「マヌの法典」が延々と現在まで続いている。

 

わたしのネパ-ル人との友情関係

 わたしはネパ-ルで、ネパ-ル人一家数家族と親しく友人関係のお付き合いをしている。息子や娘の誕生祝をするから来るかい、と誘われる。お祭りには今日ティカの儀式があるから来て、と。わたしが日本の友人と一緒にネパ-ルを訪れると、夕食にどうぞ、と電話が。

 これらのネパ-ル人との関係を、最初から遡って振り返ると、わたしが賃金などお金を支払ったことはない。ネパ-ルでは雇う側と雇われる側の関係は、即友情関係と反対の関係を築くことに気づかせてくれる。

 今でもこのネパ-ル人達には、いかなる場合でもお金をあげないことにしている。その代わりとして、娘や息子達には多すぎる程のお小遣いをあげている。

 

ネパ-ル人一家

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ネパ-ル人一家

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トレッキング中に出会った友人達

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八ヶ岳の山荘にて

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友人宅にて

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友人の姪の誕生会

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友人宅

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ダサイン大祭 ティカの儀式

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ティハ-ル祭 ティカの儀式

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アメリカ人ナタリアさんのお客様にもティカ

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