ネパ-ルの雪崩 その11 インド・ジャオンリ峰の雪崩 第10回目

ネパ-ルの雪崩 その十一 中国・ミニヤコンガ峰7、556mの雪崩 第十回目

前回はインドのガンゴトリヒマラヤのジャオンリ峰・6632mの雪崩事故を見た。

 このブログの標題は「ネパ-ルの雪崩」となっているが、ネパ-ルの山だけでなくパキスタやインド・中国ヒマラヤの雪崩も見てみる。

今回は中国・ミニヤコンガ峰7、556mの雪崩事故を見てみる。

前回、1981年ミニヤコンガ峰の8人の行方不明者を出した滑落事故を見た。

 この中国のミニヤ・コンガ峰では、1994年9月に日本隊が雪崩事故で4人が行方不明になっている。

 ミニヤ・コンガ峰はチベットの東端に位置し、四川省成都から車で二日間入る。ここから更に車で、最近の木材運搬のための林道を1~2時間。車から降りて一日でベ-スキャンプ地に到着する。

 1981年の北海道隊は、車で二日間、キャラバンを五日間も行っているから、林道建設で五日間も日数を短縮していることが分かる。

 登山隊は総勢7名。1981年と同様に北東稜からの登頂を目指し、5850mキヤンプ3設営後上部の6050mまでのル-ト整備に4名が行動中、BC間の音信を絶つ。その後捜索するが発見できず行方不明。雪崩による遭難行方不明とされた。この時の四人の内の隊員一名は、私が連盟理事長をしている時の加盟会所属会員で、ピッケルクランポン(アイゼン)などの製造販売業者の梶田製作所に就職で愛知県の山岳会会員だった。彼は地元の工業高校山岳部時代から登山を始めている。

 又他の隊員一名は、私が雪崩事故防止活動をしている時に、北海道大学の低温科学研究所で雪崩の研究中で、私と一緒に活動をしていた。

死亡隊員中北海道出身者が二名居たので、1995年4月に札幌と白糠で追悼会やお葬式が行われた。

 

雪崩研究と雪崩講習会

 「ネパ-ルの雪崩」の標題で世界各地のヒマラヤの雪崩を見てきた。氷河雪崩や表層雪崩は雪面などを一見しただけでは、そこがなだれるかどうか、どの程度の雪崩の規模になるのか、判断はできない。ここで、私が「できない」と断定したのは、「難しい」などの程度ではなく、科学的な知見と技術での判断が必要になるから。

 よく冬山登山ベテランと云われる人は、雪面を一目見て「なだれる・なだれない」の判断ができる、と豪語しているのを聞いたことがある。日本の積雪期登山とその登山史からは、雪や雪崩の知識を身に着けない、登山期間だけベテランの多くの岳人がこうして命を落としてきた歴史がある。

 北海道での登山者の雪崩研究や雪崩講習会は1970年代後半ころから始まった。今日では多くの登山愛好者が雪崩講習会を受講して、安全登山を行っている。

 私の所属するNPO法人北海道雪崩研究会主催講習会は、今年の雪崩講習会で第22回を数え、その受講者数は総計で1、087名になっている。現在では講習会受講者が、容易に自分自身が雪崩に遭わないための知識と技術を身に着けられる様な講習会が開催されている、と云える。1970年代からそうだった訳ではなく、この間も多くの登山者が雪崩に遭い死亡している。

 

雪崩研究と雪崩講習会は雪崩死亡事故を激減させた

 それでは、雪崩講習会開始前と、その後に雪崩死亡事故が減少しているのだろうか。山岳連盟が統計を取り検証しているので見てみたい。

 北海道の山岳団体が会員数や山岳事故数・死亡者数などから「雪崩事故や雪崩死亡数」を分析している。

 雪崩講習会を始める前の10年間と、始めてからの11年間を比較して雪崩事故や雪崩事故死亡者数を現わしている。講習会を始める前の雪崩死亡者は4件7人だったのが以後は1件1人に減少、雪崩事故数も9件17人から4件4人に激減。前期10年間の初年度の会員数は467人、後期11年間の中間年の会員数が888人で、事故数は前期10年間68件79人と後期11年間133件145人。21年間の前半と後半とでは会員数が190%の増加に比較して事故数が195%ですから、ほぼ会員数の増加分だけ比例して事故も増えた勘定になる。雪山での事故数や夏山での事故数でも同様の傾向がうかがわれる中で、事故中の雪崩事故だけが減少していた。これらの事実は、雪崩に関する研究活動や講習会開催の成果そのものだった。全体の雪崩事故と雪崩死亡者数が、すごく明らかに減少していた。

 

ヒンドゥ教徒の雪崩死亡事故

 2014年プレモンス-ン季のネパ-ル・サガルマ-タ(エベレスト)で氷河雪崩が発生。ベ-スキャンプからキャンプ1への荷揚げ中のネパ-ル人ハイポ-タ-13人が死亡、三人が行方不明になった。大きなアクシデントで約30隊約300名の外国人がBCに居たが、全隊が登山中止を決定した。

 三名行方不明のネパ-ル人の捜索が行われたが、発見されることはなかった。ネパ-ル人の多くはヒンドゥ教徒。ヒンドゥ教の教えに輪廻転生がある。これは私が勝手に解釈していることだが、「生きているうちに功徳を多く重ねることで、又人間に生まれ変わる」とされている様だが。

 この輪廻転生、ヒンドゥ教徒が死んだときに遺体が無い場合はダメなのだ。雪崩に埋没して発見されないのなら、輪廻転生が叶わない。本人は死亡していて判らないのだが、ご家族は何かに生まれ変わらずにどこかに迷っていることを困惑しているのだ。

 私には、死体が無くて迷うのがヒンドウ教の教義に反するのかとうか分からないが、雪崩事故で遺体が埋没したままでは困る。何とかしなければとは考えているのだが。 

 

以後は中国ミニヤ・コンガ峰登山と遭難の記録などによる

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ミニヤ・コンガ峰北東稜と頂上7556m

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札幌での遭難者追悼会

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チョモランマ(エベレスト)峰8848m

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北海道雪崩講習会 総合理論講習会

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北海道雪崩講習会 実習講習会受講者一同

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