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ネパ-ルの雪崩 その6 アンナプルナⅠ峰の雪崩 第5回目

ネパ-ルの雪崩 その六 アンナプルナⅠ峰の雪崩 第五回目

前回はアンナプルナⅠ峰北面を襲う雪崩を写真で見てみた。

今回はなだれている写真はない。

 1991年アンナプルナⅠ峰北海道登山隊は、ダッチリブル-トにキヤンプ2を設営。3名の隊員が、ダッチリブと云う支尾根状から韓国隊6人が雪崩で死亡した頂上へ真っ直ぐ伸びる氷河状への登道をル-トメイキングしていた。そして、キャンプ1からキャンプ2への荷揚げ隊も同時に行動していた。この荷揚げ隊が行動していたル-トは、その上部がアンナプルナ初登ル-トの鎌氷河の下部になっている。

 3名がダッチリブへの向けて、鎌氷河の下部の斜面をトラバ-スしていた時だった。私はアドバンスBCでゆったりと日向ぼっこをしながら、最上部のル-ト工作隊と荷揚げ隊の両方を交互に双眼鏡で眺めていた。

 鎌氷河からせり出した氷の塊か、又はその下部の氷河かは見ていない。荷揚げ隊の上部に煙型雪崩特有の煙があがった。ここからは、ABCに居た全員が息をのみ、固唾をのむ瞬間だった。

 荷揚げ隊からトランシ-バ-で応答がある。「雪崩に○○が埋まったが、雪の中から声がして、素手でで掘り出し無事」。

 荷揚げ隊のトラバ-ス中、なだれているのが分かり一人は一目散に逃げ無事。一人居ないことが分かり、雪崩デブリを探していると雪の中から声が聞こえた。シャベルなど無く手で声の部分を掘り出す。

 キャンプ3設営を目指していたル-ト工作隊は、この日難ル-トのためキャンプ2に引き返した。

 

※ダッチリブル-ト

 アンナプルナⅠ峰北面の初登頂は1950年フランス隊。その後、この初登ル-トは鎌の形をした懸垂氷河からの雪崩が多いことが分かり、別ル-トを開拓する。それがオランダ隊だったことから、ダッチの名称と支尾根状のリブを合わせてダッチリブル-トと云われている。

 

※煙型雪崩

 雪崩の運動形態で三種類の雪崩がある。なだれ出した雪がゾロゾロとなだれるのが流れ型雪崩。そして雪煙があがるのを煙型雪崩と云う。この両方が合わさった混合型雪崩もある。今回の北海道隊が鎌氷河下部で遭った雪崩は、一人が埋まった雪が小さく砕かれた氷だったので、混合型雪崩だろう。

 

※スカッフ&コ-ル

 現在では、積雪期の山登りには三種の神器と云われている装備を携帯している。それは雪崩ビ-コンとプロ-ブとシャベルの三種類。ビ-コンは縦横10cm位の薄い箱型の電波送受信器。この箱の中にアンテナが3本とコンピュ-タ-が入っていて、雪崩に埋まった人の位置を特定する装置。訓練を積むと10cmほどの誤差で特定できる。雪面の位置を特定したら、棒状のプロ-ブで雪面から突き刺して、その先を身体に当てる。プロ-ブは以前ゾンデと云っていた。グラスファイバ-などの折り畳み式で、40cm×8本で320cmの深さまで探すことができる。プロ-ブが人の体にヒットしたら、それを抜かないで、その斜面下部方向からシャベルで掘り出す。

 スカッフ&コ-ルは、この三種の神器ビ-コンを持っていない人の捜索方法。雪崩痕のデブリ(雪の堆雪)の上から、手で表面の雪を数センチから数十センチ掻き分けて、身体の一部を見つけるスカッフ。それと雪の中の埋没者にめがけて、雪面から雪中に声で「オ-イ」と呼びかけるコ-ル

今回アンナの雪崩では、なんとこの呼びかけるコ-ルをする前に、デブリの中から声がした。

 私達はNPO法人北海道雪崩研究会で雪や雪崩の研究と、北海道雪崩講習会を主催し開催している。その研究と講習会で、このコ-ルをしていて、女性の声よりも男性の声が良く聞こえることを発見している。雪崩のデブリは雪が硬く締まった状態で、そこを人間の声が通り易いのは高音よりも低音なのだ。

 

アンナプルナⅠ峰 北面

 頂上下に鎌型の氷河、初登はその下部から左の流れ下る氷河雪面に左斜上している、ダッチリブル-トは写真中央部の小さな尾根状から、その上部の氷河雪面に登るル-ト

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雪崩三種の神器

雪崩ビ-コン

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プロ-ブ

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シャベル

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