ネパ-ルの結婚式と披露宴 WEDDING  その5

12月28日に、ネパ-ルの結婚について少し書いてみた。

 1854年制定のネパ-ル民法が、1964年までカ-スト間の降下婚禁止が続いたこと。64年に改正されたが、憲法にヒンドゥ-教の国教規定があり、民法などに罰則規定が続いた。その後暫定憲法制定や国王の退位があった。12月28日には民法も改定されたかの様に記述したが、実は憲法以外の諸法律の改定が遅れていた。

 1854年制定のネパ-ル民法、元々はインドの法体系を基に制定されていて、ヒンドゥ-教そのものがインド人のネパ-ル侵入と共に入ってきている。

 憲法にヒンドゥ-教や国王の規定があった時代のネパールの法体系の名称は、1854 年に編纂された民事・刑事法を含む包括的な国民法典のムルキ・アイン。

 憲法改正後にこれらの改正作業が始まり、2011年2月に民法民事訴訟法,刑法,刑事訴 訟法,量刑法,調整・施行法の諸法案が,制憲議会に提出された。その後,2011年5月28日に制憲議会が解散したため,民法草案の審議が進んだのかどうか。

 12月28日のブロクに、ヒンドゥ-教には父の職業以外の職種に就くことは叶わない、とも記述した。ここでの写真に出てくるネワ-ル族の新婦は歯科医師で、氏名の前にドクタ-が付いていた。私のネパ-ル人の友人の長女は、バングラディッシュの国立ダッカ大学の歯科を卒業して、カトマンドゥで勤務医をしていた。その友人はライ族。

 ヒンドゥ-教徒の職業選択の自由は、憲法が改定されそれまでの罰則規定が適用されなくなったとしても、ヒンドゥ-教が市民生活に寝付いているのだから、すぐに自由になるわけでない。

 歯科医師は、昔のカ-スト制度の職業には無かったのではないか、と私は考えている。ネパ-ルの統計からも窺い知ることができる。医師の数はネパ-ル全土で1950年に50人、1973年に315人に増加している。元々のカ-ストの職業別には「医師」は無かった。

 写真に出で来る新婦は最上位カ-ストのネワ-ル族。私の友人の娘はそれ以下のカ-ストのライ族。医師がカ-スト制度の職業に無かった歴史と、その後の民主化による職業選択の自由が相まってのことと考えたい。

 私はネパ-ルのネワ-ル族の父親に、むすめさんの大学進学について相談されたことがある。娘さんが高校を卒業時に、大学進学はどの様な専門学部が良いのか。その時は普通に医者や弁護士資格を取得できる学部を推奨した。だが、この父親、ほとんど興味を示さなかったのを覚えている。

 最高位カ-ストのネワ-ル族の父親が娘の将来に望むことは、自分の職業と同じ男性と結婚することが一番なのだろう。

 ヒンドゥ-教の教義は結婚の制限制度の他に、職業も制度化していた。このことは富の最上位カ-スト独占につながっていた。最上位のカ-スト内でも男尊女卑で男だけが富に浴していた。

 この富と男尊女卑の影響を的確に表わしているのが識字率。小学校教育がたとえ授業料無料だったとしても、家が貧しいなら家の手伝いがあって通学できない現実がある。

 パキスタンのマララ・ユスフザイさんは誰でも知っている。女性から教育の権利を奪う政治や制度と戦っている。宗教のイスラ-ムを国教とする国が存在しているし、憲法に規定していなくとも、男尊女卑を宗教の教義とするところはヒンドゥ-教と似ている。富を独占する宗教はネパ-ルだけではない。

 ではネパ-ルの識字率を歴史的に視て、1950年に20年間続いた鎖国からの開国と1990年からの民主化後も見てみたい。

 学齢期児童の小学校就学率は1950年に0.7%だったが、1972年には34%に増加した。開国後の海外、特に国際連合の教育支援の成果が著しいのが分かる。1000人の内7人しか小学校に入学していなかった。小学校も1950年に全国で265校だったのが、1972年には7265校に増加した。

ネパ-ルでは結婚や結婚制度と識字率や就学が関係していることが良く分かる。

参考にした出典物により同じ年でも統計数が若干違うので、そのまま掲載してみる。

 

ネパ-ルの識字率

1950年  4.4%

1955年  5%

1970年 11%

1981年 20.57%

1991年 32.98%

1991年 40.% (女25%)

1992年 25.6% (15歳以上)

1996年 42%

2001年 48.61% (15歳以上)

       男62.7 女34.9%

       カトマンドゥ首都圏73.7%

       極西部44% 男65.3% 女27.4%

       貧困家庭 11.6% 男36.7% ダリット最低カ-ストの女7%

2002年 60% (15歳以上)

2004年 42% (15歳以上)

2006年 男59.6% 女24.0%

2008年 52.% (15歳以上)

       男63% 女35%

2010年 男85% 女73% (15歳~24歳)

2010/2011年 60.9%

       都市部77%  農村部57%

       最も高いカトマン ズ都市部 (Urban-Kathmandu Valley ) 84.9 %

       最も低い中部タライ農村部(Rural Tarai-Central) 40.8%

2011年 57.4%

2011年 59.63%

2011年 65.9%

2015年 63.9%

 

参考出展物

ネパ-ル トニ-・ハ-ゲン著   ネパ-ル紀行 三瓶清朝

アジア読本 ネパ-ル   「世界の統計」   ネパ-ル国勢調査

公益財団法人日本農業研修場協力団   国家計画委員会

日本ユネスコ協会連盟途上国の教育支援世界寺子屋運動プロジェクト

ユニセフ世界子ども白書   独立行政法人 国際協力機構(JICA)

ユネスコ アジア文化センタ-

 

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