ゴンパのあるタンボチェ3867mからエベレストを見上げる麓を目指す。ここから3日~4日間で到達する。
タンボチェからはイムジャ・コ-ラ沿いに、右前方に突き上げる白峰アマダムラム峰6856mを回り込むように歩く。
次の宿泊地デインボチェ4350mか又はすぐ近くのペリチェ4252mを目指す。ペリチェには医師の常駐する診療所がある。
私はディンボチェに一泊したがルクラから続いていた重たい頭がスッキリせず、診療所に寄ってダイアモックスの薬をもらうことにした。高山病予防にも使われるこの薬、一晩で頭の重さが取れてしまった。この薬、人によってはナムチェ3450mで予防のために飲む。
タンボチェを過ぎると、それまでシェルパ族の耕す畑が点在してしたのが、森林限界を過ぎて荒涼とした大地に変わる。ナムチェからヒマラヤの峰々を眺めながら進む。その後のペリチェからも街道の両脇・前方のヒマラヤをまじかに眺望しながらの楽しい嬉しい時間が過ぎる。トレッカ-や登山隊の宿泊施設しかない村、トゥクラ4620mでチャ-を飲み、つぎの宿泊地ロブチェ5930m。
宿泊施設しかない村ロブチェから先のゴラクシェブ村5150mを次の宿泊地とするのか、又はここロブチェからトレッキングの最終目的地カラパタ-ル5550mを一日でピストンするのか。エベレストベ-スキャンプに行きたいのならゴラクシェブを最終宿泊地になる。
ナムチェバザ-ルからゴラクシェブまでの標高差は21700m。4千m前後の高度順応をしっかりと行っていなければ、この最終地くらいに行動不能の高度障害が出るかもしれない。デインボチェかロブチェで二泊する用心もある。
ヒマラヤ登山隊の事故や遭難死はテレビや新聞を騒がすが、トレッキングでの高山病死はほとんど報道されない。実は登山よりもトレッキングでの死亡数がけた違いに多いのが現実なのに。ヒマラヤ登山やトレッキングで3500m以上の経験者には、同宿した他のパ-ティメンバ-の高山病での死亡を見聞きしているのだ。旅行観光会社のパックトレッキングで同行するメンバ-の死亡を見ている人もいるはず。午後宿泊地に着き、具合が悪く夕食を食べずに寝込んで、朝まで持たない、アッという間に死亡する。
脳浮腫や肺水腫など簡単に命を奪る。
肺水腫は仰向けに寝れず膝を抱えるようになったら、すぐにタンカに乗せて標高差500m以上を下ろしてあげなければならない。肺に溜まった水で、ゴロゴロと息をし、体内に酸素を取り込めなくなる。
ここに至るまで、それまでに何らかの高山病の兆候があるのだが、本人は現在地よりもっと高地の目的地しか考えられず、標高差500mを再度登り返すことに思考が行きつかない。高地の酸素不足が拍車をかけて、思考を鈍らせるのだから本人では解決できない。周りの人が気づき標高の低い場所まで降ろさなければならないのだ。
パックトレッキングでは、高度障害や高山病の知識と行動力のある添乗員が求められているが、現実は日本発着9日間や12日間の日程と格安なツア-では、望むべくもない。
高度順応さえしっかり行えば楽しいヒマラヤ。
宿泊地を写真でお届けする。
タンボチェ3867mからカラパタ-ル5550mまでの素晴らしい山々は次回に一挙公開。
その内のタムセルク6608mの山を観る。
デインボチェ4350m
ペリチェのロッジ4250m
ペリチェの診療所
トゥクラ4620m
ロブチェ 4930m
ゴラクシェブ 5150m エベレスト街道の最終宿泊施設
タムセルク