しばらくぶりのトンバに酔う

 トンバが出てきた。

    D・Bさん宅でダサイン大祭のティカをする、そして食事にどうぞと誘われ。おつまみと一緒にトンバが出てきた。

 一年八月ぶりだ。

 いつもは11月に入らないとどこのレストランでも飲めないトンバなのに。

 トンバの美味しい地方はタブレジュン周辺。その辺に住むライ族などが自家製酒として作っている。

 元は粟アワかヒエを発酵させるお酒だ。普通に出回る物は数カ月寝かせた物だが、一年以上の上物もあると云う。今日のはと飲んでみるが、普通だった。が、飲み終わって酔いが早い、酔いが強いというか。これは上物であった証拠なのだ。上物は寝かせた月日が長いのでアルコ-ル度数が高くなる。D・Bさんは飲んでいる最中から酔って来たと云いつつ、飲み終わるとヤ-酔ったと。

 ネパ-ルにはトンバの他にロキシ-と云う蒸留酒とチャンと云うどぶろくがある。ロキシ-の年代物もアルコ-ル度数が高いのがあり、穀物酒で日本の焼酎と同じだ。今回のトンバはこのロキシ-に匹敵した。

 この3種類の酒は、どれも自家製酒で、ネパ-ルの酒税法により販売は禁止されている。

 ではトンバについて説明を少し。タブレジュン地方はインドとの国境に聳えるカンチェンジュンガ峰の麓で、タブレジュン地方周辺の人々がその麓にあたるインドとの国境近くのタライ平野のビラトナガ-ルに移住しているので、ビラトナガ-ル地方でもトンバは美味しい。

 ここでチョットタブレジュン地方やビラトナガ-ル地方の説明。タブレジュンやビラトナガ-ルはカトマンドゥの東350km位で、ネパ-ルの東側にあたる。ネパ-ルの日本に近い方と云うと分かり易い。エベレストのあるサガルマ-タ国立公園より東側になる。カンチェンジュンガ峰登山隊はタブレジュンまでフライトするのが普通だ。ここより東側はイラムの紅茶で有名。イラム地方の国境を接してあのダ-ジリンがある。国境がどこにあるのか分からないくらいイラムとダ-ジリンの茶畑は続いている。

 タブレジュン地方周辺の家々のキッチンをのぞくと、あるあるトンバの飲む入れ物が。木で作られていて円筒形の外側には模様が施されている。見た目も素敵な器だ。これが日常的に使用するには少し厄介で、飲み終わったらいちいち中を洗わないといけない。木でできているのであたりまえだが。そこで、D・Bさんの自宅に有る物と奥様のレストランの物はアルミ製で楽に洗浄できる。アワやヒエを発酵させる器は50L以上入る大きなもの。飲み方の説明。まず器にはふたがかぶさっていて、上にストロ-が付いている。このストロ-で吸い飲むのである。なぜならアワやヒエごと器に入っているから。ストロ-の先はつぶされていてアワやヒエが入らない細さにしてある。飲む前にストロ-を器の奥一番下まで突っ込み、ストロ-の中をトンバで満たす。そしてストロ-の吸い口を手で押さえて引き上ける。ストロ-の中のトンバを皿にあける。普通はトンバの器は皿の上に乗った状態で出てくる。なぜ皿の乗って出てくるのかの疑問がここで解ける。なぜストロ-の中のトンバを皿にあけるのか、分かりますね。常識ですよ。このストロ-はアルミ製で何回も使用する。なかなかストロ-の中を洗うのは難しいのだ。そこでトンバで洗うことを思いついた訳。 

 この後が又面白い。飲んでいくうちトンバが無くなりアワやヒエだけになるが、ここでお湯を足すのだ。アワやヒエに残ったアルコ-ル分が足したお湯に染み出て解けて、トンバの復活となる。お湯は3回程が良い。今回分かったことがもう一つある。それは夏場はお湯でなく水でも良いことだった。あたりまえと云うとあたりまえだが、いままで11月以降で寒い季節しか飲んでいなかったので知らなかったのだ。

今回はトンバの巻でした。

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